【がんを生きる緩和ケア医・大橋洋平「足し算命」】分からんところが、分からへん
【がんを生きる緩和ケア医・大橋洋平「足し算命」】分からんところが、分からへん

【がんを生きる緩和ケア医・大橋洋平「足し算命」】分からんところが、分からへん

2022年10月26日=1,298
*がんの転移を知った2019年4月8日から起算


三重県志摩市の海岸、とある日の朝=2022年9月21日
三重県志摩市の海岸、とある日の朝=2022年9月21日

▽分からんところが、分からへん

「分からないこと」に出くわしたときに、あなたならどうしますか。この場合に人間が取る行動は4種類あると、わたくし思うとります。

その1。「分からないこと」を自ら調べて、その知識や技術を習得するタイプ。素晴らしいお方でいらっしゃいます。元々の能力もかなり高いひとでしょう。
その2。「分からないこと」を誰かに尋ねまくるタイプ。中学時代のわたくしでした。まあまあの成果を出すことでしょう。
その3。「分からないこと」をそのまま放っておくタイプ。自ら調べることも、誰かに尋ねまくるのもやっぱり面倒くさい。面倒なことはやりたくない。だからそのまま放置する。この傾向、わたくしにも強いです。
その4。「分からないこと」が分からないタイプ。どこが分からないのかが分からないので、調べること、尋ねまくることはもちろん、放置することすらできない。

この「分からないところが、分からない」は、まさにわたしが高校時代に体験したこと、そしてさらに先日わたくしが体験した「とある出来事」です。まず今回は、高校時代の事例をお話しします。

▽満点と0点

テストで「満点」と「0点」を取るのは難しい。うまく言うたものです。「満点」を取るのが難しいことについては周知の通りです。なぜならば全て分かる、ただのひとつも間違えないなんて神業です。うっかりと勘違いや、書き間違いなど、一つのミスも許されません。

一方、「0点」はどうか。わたしが高3の物理で「4点」という快挙を達成するまではこう信じてました。「0点なんて簡単や、だって何にも書かへんかったらええんやから」。難しさでは満点を取ることの比にならないと。

しかしこの見立ては甘かった。0点を取る勇気なんて、実際にテスト用紙を目の前にすると、ぜんぜん出てこない。もう1問目から全くもって分からない。時間も限られてるし、分かりそうな問題を探し始める。ところが2問目、3問目と読み進めていってもサッパリ分からない。そしてとうとう苦肉の策、いわゆる「鉛筆ころがし」をしてしまった。そして「4点」を取ってしまった…。

「0点」を取る勇気がなかったんです。情けない。いやいやそれを言うなら、こうならぬようテスト勉強なり、日々の予習復習なりをやれよ。これらをやってなかったことが情けない。こんな声が脳裏を襲ってきます。

三重県志摩市の海岸、とある日の夕=2022年9月20日
三重県志摩市の海岸、とある日の夕=2022年9月20日

▽「その4」のわたし

こう見えてわたくし、小学・中学時代はテスト成績が学年でも上位でした。ところが高校に入って、1年、2年と上がるに反比例して、わが成績は下落傾向をたどるばかり。いわんや高3でも。物理だって実は全然分からなくなっていた。まさに「分からないところが、分からない」の絶世期。つまり「その4」やった。

おっと、長くなってきましたので、本日はこのあたりで締めとさせてくださいな。次回はいったい何のことやって? そうそう、わたくしが最も苦手とするSNS、なかでもユーチューブ・ライブの話であります。続きはまたいつか・・・

(発信中、フェイスブックおよびYоuTube“足し算命520”)


おおはし・ようへい 1963年、三重県生まれ。三重大学医学部卒。JA愛知厚生連 海南病院(愛知県弥富市)緩和ケア病棟の非常勤医師。稀少がん・ジストとの闘病を語る投稿が、2018年12月に朝日新聞の読者「声」欄に掲載され、全てのがん患者に「しぶとく生きて!」とエールを送った。これをきっかけに2019年8月『緩和ケア医が、がんになって』(双葉社)、2020年9月「がんを生きる緩和ケア医が答える 命の質問58」(双葉社)、2021年10月「緩和ケア医 がんと生きる40の言葉」(双葉社)を出版。その率直な語り口が共感を呼んでいる。


このコーナーではがん闘病中の大橋先生が、日々の生活の中で思ったことを、気ままにつづっていきます。随時更新。

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