一人ひとりの心身の悩みに寄りそうパートナーに 第一三共ヘルスケアのセルフケア情報メディア「健康美塾」が全面リニューアル

第一三共ヘルスケア 経営企画部広報グループ 加藤美輪子氏

 第一三共ヘルスケア(東京)は、同社が運営するセルフケア情報メディア「健康美塾」を6月に全面リニューアルした。2010年にスタートした「健康美塾」は、これまで、季節に応じたスキンケアや体の症状に対処する「日常的な症状へのセルフケア」に関し、同社の製品情報を中心に発信してきた。今回のリニューアルでは、「生理や妊娠関連・更年期など女性特有の健康課題(フェムケア)」のテーマを加えた。「日常のセルフケア」「フェムケア」の2つの軸で生活者の日々の不調・悩みに寄り添い、解決への選択肢を提示する“セルフケアのパートナー”としての存在を目指す。

 「健康美塾」のこれまでの歩みや、今回のリニューアルのポイント、今後目指す方向性などについて、同社経営企画部広報グループの加藤美輪子氏に聞いた。

■13年目に2度目のリニューアル

 「健康美塾」は2010年にスタート。主に女性向けに、同社製品の使い方を中心に情報を発信してきた。

 2016年の最初のリニューアルでは、Facebookページを開設。美容の専門家やコラムニストを起用したコンテンツを増やし、自社製品に絡めたセルフケア情報の提供を始めた。そして、2021年に「健康美塾」の運営がマーケティングの部署から広報グループへ移ったのを機に、Instagramアカウントを開設。製品の訴求だけでなく“同社のファン”作りも意識してコンテンツの作成と充実に力を入れてきた。「コンテンツマーケティングのはしりの時期ともいえる2010年にスタートしたオウンドメディアが、13年間続いてきたことにも強みを感じている」という。

 7年ぶりとなる今回の2度目のリニューアルでは、今まで発信してきた「日常的な心身の症状へのセルフケア」に加え、「フェムケア(生理や妊娠関連、更年期など女性特有の健康課題)」のテーマを軸に据えた。生活者のリアルな声を特集したコンテンツや、同社社員がお悩みの対処法を解説するコンテンツ、さらに、生活者の声を代弁する「セルフケアメイト」としてSNS等で活躍するインフルエンサーたちを起用したコンテンツなどを提供していく。

 自社が持つ情報の二次情報を掲載し、製品の訴求に力を入れてきた内容から、“生活者の心身の悩み”に寄りそうテーマについて、取材などを通して新しい情報を提供していく形に方向転換。専門家やさまざまな情報を持つ人たちと一緒に一次情報の形で発信していく。フェムケアの記事に関しては、講談社の女性誌「FRaU」との共同編集。FRaUが持つトレンド情報や知見を生かしていく。

■女性の一生涯の健康課題を見据える

 今回のリニューアルに際し、メインターゲットを「ワーキングウーマン(20~30代)」「子育てママ/働くママ(30~40代)」「卒ママ(50代~、既存ファンを含む)」と、20~50代以上にまで広げた。生理、妊娠出産・子育てによる心身の変化や対処法、更年期の健康課題など、女性の生涯を通して続く健康課題をユーザーと共に考える。

  リニューアル特別企画として、「産婦人科医 高尾美穂先生が教える『自分の体と心との向き合い方』」「セルフケアメイトと『ロキソニン内服薬』ブランドマネジャーによる生理にまつわる座談会」「気になる、各家庭のくすり箱事情をインタビュー」のコンテンツが公開されている。

 “高尾氏へのインタビュー記事”では、「困っていることを、放っておかない」「生理は“痛くて当たり前”ではない」「時間は有限、妊娠・出産する時期のイメージを持っておく」など女性のライフステージに合わせ、からだや心のいたわり方を発信。

 “生理にまつわる座談会”では、助産師・性教育YouTuberのシオリーヌさん、IT企業勤務を経て文筆家のりょかちさん、元美容部員で美容ライターの阿保幸菜さんの3人のインフルエンサーが登場。多様なキャリアを歩んできた3人が、同社「ロキソニン内服薬シリーズ」のブランドマネジャー・土合桃子氏を交え、仕事や生活の中での生理にまつわる悩みや、不調時の適切なタイミングでの対処法などについて語り合った。

 “各家庭のくすり箱事情インタビュー”には、子育てママ3人と第一三共ヘルスケア社員が出席。いざという時のために、ばんそうこうや消毒薬、解熱鎮痛薬などを入れて備える「くすり箱」をテーマに、家族構成の異なる3家庭にインタビューを実施。それぞれのくすり箱の中身や使用シーン、用途などを語り合う中で、それぞれの家族の形や子どもの成長とくすり箱との多様な関係性が浮かび上がる内容となっている。

■パートナーや家族、周囲との関係性の中で自身の健康を考える

 「仕事や家事、日々のさまざまな忙しさの中で不調や悩みをそのままにせず、自分の体や心と向き合ってほしい」ということに加え、同社からのメッセージとして力を入れていることがある。それは、「日々の生活は、パートナーや家族、周囲の人とのかかわりの中にある。だからこそ、当事者だけでなくパートナーや家族も当事者の悩みを理解して互いに健やかでいられることを目指すことが必要」ということ。

 例えば「生理痛」。痛みなどを薬で軽減するだけでなく、生理中の体調不良時にパートナーにどう接してもらいたいか、職場でどのような配慮があれば助かるか――。気になる「家族の体臭」について、体臭を軽減することだけを目指すのではなく、相手との関係性の中でどのように捉えて向き合っていくか――。

 自身や周囲の人の健康課題について、“症状の解消”だけではなく、“コミュニケーションの取り方”なども紹介しており、人同士の関係性の中で向き合い、自身と周囲の人たちの健やかな日々につなげてほしいと考えている。

■製薬会社発の信頼性の高い情報で“自分ごと化”

 情報があふれ、取捨選択も簡単ではない時代だ。提供するコンテンツは必ず医師や専門家の監修を受ける。“製薬会社発の信頼性の高い情報”に触れてもらい、「病院に行く」「市販薬でケアをする」「くすり以外でセルフケアに取り組む」など、悩みに対して次のアクションを起こす“道しるべ”にしてもらうことが同社の願いだ。

  今回のリニューアルに際し、編集方針の見直しも行った。“生活者目線”を大切に、“企業目線”を掛け合わせていく。

 “生活者目線”としてのキーワードは“自分ごと化”。一般論にとどまらないよう、読み手それぞれが自分の悩みに当てはまる情報を目指していく。例えば、生理にまつわる悩みについても、生活環境や職種・職場環境によりさまざまだ。いろいろな生活環境や働き方の人たちで行う座談会などの企画を通し、より多くの人に“自分のこと”として捉えてもらえるようにする。

 女性特有と思われがちな「更年期症状」は、男性にもあると指摘されている。また、「気象病」(気圧や温度、湿度など気候の変動に伴って起こる不調全般)は、女性に多い傾向があるが、男性でも悩みを抱える人がいる。男性が読んでも参考になるコンテンツを目指している。

 “企業目線”については、社員を記事に登場させて“企業の中の人”を通じて伝えていく。そうすることで、取り上げるテーマに関する企業の取り組みや姿勢が直感的に伝わるように工夫した。

 ■企業と生活者を結ぶ“ハブ”に

 製品の訴求が中心だったころは、発信する情報テーマも、プロモーションの波に引きずられてしまう面があったというが、「これまで同社として発信していなかったテーマにも取り組んでいきたい」という。

 目指すのは“一方通行”にならない情報提供。「健康美塾」を、社内やユーザーからの声が集まる、企業と生活者を結ぶ“ハブ”と位置付けている。ユーザーとのコミュニケーションで得られたニーズ(顕在意識)やインサイト(潜在意識)などのデータを社内に還元し、企画テーマやブランド展開に生かしていく。

(補足) ※気象病について同社サイト情報

「気象病」は気圧や温度・湿度の変動などで起こるさまざまな不調|くすりと健康の情報局 (daiichisankyo-hc.co.jp)

 

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