携帯不通地域に水位センサー設置 ファーモ、地元ケーブルテレビ会社と連携

farmo 「IoT水位センサー(アクアモニター)」

 

 先端技術を使ったスマート農業を推進するファーモ(宇都宮市)はこのほど、携帯電話がつながらない山形県鶴岡市の山形大学演習林で、河川の水位を測定する水位センサーと通信環境の提供を始めた。

 地域の有線ネットワークに精通する地元ケーブルテレビ会社ニューメディア(山形県米沢市)と連携し、低コスト・低消費電力で長距離のデータ通信が可能な無線通信技術(LPWA規格)を使い、無料で利用できる通信環境体制を整備した。測定地に設置した水位センサーが感知する水位データを、クラウドに蓄積して活用することが可能になった。

 測定地は演習林内の早田川。一帯は冬期には積雪4メートルにもなる雪深い場所。測定する山形大はこれまで、生態系の基礎データとして早田川の水位データを収集。年間50~70回ほど現地を訪れる労力をかけ、水位計を確認していた。今回、低コストの無線通信を利用して、水位センサーからほぼリアルタイムで送信される水位データをクラウド上に 蓄積することが可能になり、データ取得の労力を大幅に軽減できた、という。

 山形大農学部の渡辺一哉准教授は「今までは山間地の河川で直接水位を測定するという方法しかなかった。(今回のシステムは)コンパクトで設置が簡単な上、無線で精度が高いデータを送信でき、ほぼ同時刻にモニタリングできて、とても便利だ。演習林内は携帯電話が使えないが施設の有線からのWi-Fiでシステムを利用している」とコメントする。

 ニューメディアのシステム開発部開発課課長・笹原真文氏は、水位データの活用について「上流域河川の水位を見える化することで下流域の避難状況を地域の人々に伝えことができる。データ活用はさまざまな可能性があり、雪害対策などの課題にも取り組んでいければ」としている。

 

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