「楽」という漢字をよく見ると、左右と下に「ハ」という字が隠れているように見えませんか?まるで「ハ・ハ・ハ」と楽しそうな笑い声が聞こえてくるかのようです。この「楽」を通して、今回は食と笑顔、そして口腔(こうくう)健康のつながりをお伝えします。(イラスト:ⓒ食育推進団体イートライトジャパン)
まず、口腔の健康が全身の健康に大きな影響を与えていることをご存じでしょうか?さらに、笑顔も全身の健康と深く結びついています。笑顔を作るために使われる顔の筋肉は、血流を良くし、口周りの健康を保つ役割を果たします。笑顔は単に外見だけでなく、内面の健康にもつながっています。
よい笑顔を作るためには、「舌の位置」が重要なポイントです。舌が正しい位置にあると歯並びや口元の美しさ、顔全体の若々しさを保つことができます。
そして、良い笑顔を保つためには日々の「良食」。つまり、良い食べ方が欠かせません。そしゃくによって唾液がしっかり分泌することで、食べ物をやわらかくして飲み込みやすい状態にします。これが、消化機能のサポートにつながります。さらに、舌筋や顎の筋肉が鍛えられ、歯や口元の美しさ、健康的な笑顔が保たれます。
ぜひ、次の食事の際には、口の中の動きを意識してみてください。食べ物を細かく噛(か)み砕き、唾液と混ぜ合わせる時、舌がどのように動いているのかを意識して食べると、新たな発見があるかもしれません。意識して食べるだけで、「顎が疲れた」「食べる時間が足りなくなった」という感想をよく聞きます。普段、さっさと食べられる手軽な食事で済ませていたり、噛む回数が少なくなっていると、顎の筋肉が衰え、舌の動きも鈍くなります。日々の食べ方が見た目の若々しさにも影響があることを実感できます。”楽な食べ方”に流されず、噛んで味わう習慣が大切です。
「楽」という字には、人生を楽しむ力、つまり「楽力(がくりょく)」が含まれています。現代の日本では、学力が重視されるあまり、楽しむ力が軽視されがちです。しかし、楽しむ力こそが、人生を豊かにし、心身の健康を支える大切な要素です。楽しく生きる力を育むことが、心の健康にもつながります。
そして「楽」に「艹」が加わった「薬」という字が、病気を癒やし、心も体も楽にすることを示しているように、私たちの日常生活も楽しく過ごすことで健康を保てるのです。
日々の食べ方を見直し、舌の位置や噛むことを意識しながら、健康と笑顔を守りましょう。笑顔あふれる日々は、まさに「口福」の源です。
【KyodoWeekly(株式会社共同通信社発行)No. 42からの転載】