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【がんを生きる緩和ケア医・大橋洋平「足し算命」】8年前の今ごろ
【がんを生きる緩和ケア医・大橋洋平「足し算命」】8年前の今ごろ

【がんを生きる緩和ケア医・大橋洋平「足し算命」】8年前の今ごろ

▼ロシア大会の記憶

 8年前、2018年の今ごろ、みなさんは何をしておられましたか。

 8年前の6~7月、となればそう、多くの方々はこれやないかな。サッカーのFIFAワールドカップ。この原稿を書いている今、わがニッポンチーム、勝ち残っています。ブラジル戦、その結末やいかに・・・。

 8年前はロシア大会。でもわたくしには、全くその記憶はありません。サッカー日本代表の結果を気にする、いやテレビを見ることすら、そんな余裕は微塵もなかった。なにしろ6月あたまに大量下血で緊急入院していたから。緩和ケア医の端くれとして働いていた勤務先の病院やった。そんなわけで、8年前の今ごろを振り返ります。

▼まあまあでかい

 諸検査の結果、悪性腫瘍のひとつである消化管間質腫瘍(ジスト)が胃に見つかった。その大きさ10センチほど、まあまあでかい。少なくとも早期ではないことぐらい、たとえ医療者じゃなくても容易に想像がつく。

 出血は続き、輸血も受けた。このまま血が止まらなければ…と気がかりが増す。ただしこの時点で転移はない。手術を待ちわびた。6月中旬に念願の手術を受ける。胃はほぼ全て失ったが手術は成功。うれしかったぁ。これで命もらえた、人生復帰が叶ったと思った。

▼閉鎖空間からの脱出

 次なる目標は社会復帰、と傷跡の痛みが続くなか6月下旬には退院。おなかに30センチほどある手術跡だ。あくびや咳が痛みを生じさせた。その中で最たるは、くしゃみだった。待ったなし突然に激痛が走る。まあそれはそれとして閉鎖空間を脱することができ大満足やった。人の生死にかかわる神聖なる空間を「閉鎖」などと称してすみません。

▼悪性腫瘍の悪性度

 翌7月上旬に詳しい結果を聞くため外来診察室を訪ねた。これが相当ショックやった。切除した悪性腫瘍を顕微鏡で調べると、その悪性度が極めて高いと判明した。基準値の何と40倍近くも。

 つまりこういうことだ。このジスト、もちろん悪性腫瘍である。転移や再発するから。ただしその程度は患者によって様々である。その「悪性の程度」が弱いものから強いものまである。顕微鏡で見て悪性の細胞が何個存在するかで、その強弱が診断される。要するにおれのジストはとてつもなく悪性だと判定され、告知されたのである。

 例えば同じ○○がんなのに、ある人は助かる一方である人は亡くなる、のと同様だ。がん治療の効果にも差が生じ得る。

▼死の覚悟

 「あ~これで、おれも終わった」

 死を覚悟した。実はおしりからの大出血で発覚した際も、手術前には腹を括っていた。

 「このまま血が止まらんかったら、もう死ぬなぁ」

 従って死の覚悟をしたのは、これが2度目となる。

 その一方で救いは、手術後1ヵ月経ったこの7月でも転移や再発が発見されていなかったことだ。そしてそれらの可能性を防ぐためにと、抗がん剤治療が始まった。治療法があることは患者にとって大いに救いである。頑張ることを決意した。しかしながら間もなく襲ってくる抗がん剤の副作用、さらには喉奥まで上がって来る消化液逆流など胃手術後の後遺症に日々苦しむことなど、全く知る由もなかった。それが「8年前の今ごろ」のことでした。

▼ところで

 ところで昨年10月にわが書を出版すること叶いました。「がんになった緩和ケア医が、本気でホスピスを考えてみた」(双葉社より、税込み1650円)もしも関心をお持ちくださったならば手に取っていただけますと甚だ幸いでございます。また我がユーチューブらいぶ配信、こちらもしぶとく続けてます。チャンネル名「足し算命・大橋洋平の間」。配信日時が不定期なためご視聴しづらいとは察しますが、気ぃ向かれましたならばお付き合いくださいな。ご登録も大歓迎。応援してもらえると生きる力になります。引き続きご贔屓のほど何卒よろしくお願い申し上げまぁす!!

 


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