国立研究開発法人物質・材料研究機構(NIMS)は、フランス国立科学研究センター(CNRS)との日仏国際共同研究によって、窓ガラスの断熱特性を改善するためのコーティング材料を開発した、と発表した。
研究チームによると、室温を快適なレベルに保つための冷房や暖房など、建物で消費されるエネルギーは、世界の全エネルギー消費の多くを占めている。開発したコーティング材料は、可視光の透過率を損なうことなく、近赤外線(NIR)と紫外線(UV)の大半を遮断するという。
研究チームは、金属ナノクラスターを含むナノコンポジット材料の作製とその評価を進めた結果、塩化物系ナノクラスターが最高の性能を示すこと発見。コーティング材料に含まれるナノクラスターの濃度や分散状態、酸化状態などを最適化し、材料性能を高めた、としている。
CNRSのファビアン・グラッセ氏は「事業化にはまだ長い道のりがあるが、以前の研究と比較して、われわれが開発したコーティング材料を使うことで、UVとNIRの遮断特性を大幅に改善できることが示された」と話している。研究成果は「サイエンス・アンド・テクノロジー・オブ・アドバンスト・マテリアルズ」誌で発表した。
・論文:https://doi.org/10.1080/14686996.2022.2105659