少子高齢化、観光、子育て――。地域が直面するリアルな社会課題を、学生たちが最新のAI技術を使って解決する実践的なプログラム「地域創生・社会課題解決AIコンテスト2026」が開催され、県内の情報系学部を有する全ての大学・高専の学生が一堂に会したほか、専門学校からも学生が参加した。
全国に先駆けて愛媛県で初開催された本コンテスト。
7月4日の仕上げ・発表~最終審査会、8月7日のオンライン結果発表会を経て、受賞した3チームは8月26日に開催された大規模イベント「AWSデジタル社会実現ツアー2026 愛媛会場」へ招待された(AIコンテストの入賞作品は、デジタル社会実現ツアー会場で表彰を実施)。会場に集まった100人を超える産官学金のキーパーソンに向けて、開発したアプリを堂々とアピールし、約1カ月の短期間プロジェクトを終了した。
愛媛大学、松山大学、松山東雲女子大学、人間環境大学、弓削商船高等専門学校、新居浜工業高等専門学校、河原電子ビジネス専門学校の計7校から集まった計14チーム/50人の学生たちは、6月16日の事前勉強会をキックオフとして、地域課題解決につながるアプリケーションの開発をスタートした。学校の講義、試験勉強やアルバイトとも両立しながら、実質的な開発期間はわずか18日間という極めてタイトなスケジュールの中、放課後や夜間に自主的な勉強会や共同作業を重ね、開発を進めてきた。
7月4日の本番当日は、直前までの最終仕上げを経て、1チーム5分という制限時間のもとで個別デモのプレゼンに挑戦。さらに発表終了後、審査員から得られたフィードバックを反映するため、7月8日の最終締め切り直前までアプリの「ブラッシュアップ(仕様改善)」を粘り強く継続した。こうした学生たちの目覚ましい成長ぶりについて、各校の指導教員からは「学内で遅くまで自主勉強会を開くほど主体的に取り組み、自発的な行動やチャレンジにつながった」との報告が寄せられた。
8月7日の最終審査会で入賞した作品は次のとおり。
最優秀賞(1作品)
『えひめイベントナビ』(チーム「2年2組」/人間環境大学)
県内のあらゆるイベント情報をAIによって自動収集(スクレイピング)し、カレンダー形式などでシンプルに届けるナビアプリ。AIが自動取り込みを行うことで、将来的な継続運用時の管理負担やコストを最小限に抑えた「持続可能性」が高く評価された。また、開発プロセスにおいて、情報収集先サイトのルール(robots.txt)を地道に確認・遵守するなど、著作権やコンプライアンス遵守への配慮を施したシステム設計・開発姿勢が、最優秀賞にふさわしいとの高い評価につながった。


入賞(2作品)
『KOKOSHIKU!(ココシク!)』(チーム「四国(459)NEXUS」/河原電子ビジネス専門学校)
外国人観光客の避難(リスクマネジメント)という重要な課題に数値面からアプローチし、「観光地」と「避難所」の地図データを融合・可視化させた多言語対応アプリ。AIによるルート提案機能など体験コンテンツの充実に加え、管理者向けのCSVデータ更新機能を搭載しており、開発段階でAIツール「Kiro」を活用して自発的にセキュリティテストまで行う実用的な開発・運用体制が高く評価された。


『えひめファミリーナビ』(チーム「河原P」/河原電子ビジネス専門学校)
ファミリー単位での利用を想定した、子育て世代向けのナビアプリ。実際のデータの活用のみならず、アプリで取得したデータを地域へ還元する仕組みの装備、自治体・住民・事業者の三者それぞれに必要な機能を反映。さらに、管理者の視点でシステム監視やレポート生成が可能な「管理ダッシュボード」も構築されている。
地域還元データに対する「設計・解像度の高さ」や、継続的な運用まで見据えた完成度の高さが評価された。


【受賞作品一覧】
最優秀賞 人間環境大学 2年2組 『えひめイベントナビ』(県内イベント情報一元化アプリ)
入賞 河原電子ビジネス専門学校 河原P 『えひめファミリーナビ』(子育て世代ナビ・SNSアプリ)
入賞 河原電子ビジネス専門学校 四国(459)NEXUS 『KOKOSHIKU!(ココシク!)』(観光×防災 多言語万能マップアプリ)
その他の本コンテスト参加チームの作品等は、愛媛県ホームページ に掲載している。
審査員から、次のとおり、コンテストの総括として参加した全14チームの技術的到達度や今後の成長に向けた全体講評が寄せられた。
全チームが動作するアプリを構築した高い到達度
参加した全チームが、アイデアだけにとどまらず、AIツール「Kiro」を用いて実際に動くアプリケーションとして形にしており、高く評価できる。また、社会におけるAI活用の本質として、「課題を深く理解すること」や「解決プロセスやアウトプットをデザインする力」の重要性が示されたことも評価した。
開発未経験からの技術習得と新しい可能性
審査基準に準じた採点では上位3チームの選出となったが、スタートからわずか18日間での成長は目覚ましく、AIの活用度も高かった。特に、システム開発未経験の状態から開発に挑み、ユーザー目線のUIやアレルギー項目を取り入れるなど「あったらいいな」を技術的に具現化させた松山東雲女子大学の取り組みをはじめ、スキルや経験の有無に関わらず、独自の気づきを形にできる新しい開発手法の可能性を全チームが体現していた。
学生たちの自発的な成長と、社会へ飛び出した「大舞台」
コンテスト終了後、指導教員からは、「今回のAIコンテスト挑戦を通じて、課題をみつけ自発的にチャレンジする行動の促進につながりました。大きな成長と自信を得られる機会でした」との報告が寄せられている。
受賞した3チームは、8月26日(水)に開催されたイベント「AWSデジタル社会実現ツアー2026 愛媛会場」に招待され、最優秀チームがメインステージに登壇し、プレゼンテーションを披露。さらに会場内の特設デモブースでは、来場した社会人に向けて自分たちの開発アプリをアピール。同世代の学生たちも駆けつける中、オープンな交流が行われた。
今後のAI人材育成の取り組み
今後も、愛媛県は、産官学金の連携のもと、対象の学生が県提供のAWSクラウド環境を用いて、地域課題解決に向けたAIを組み込んだアプリケーションの開発をサポートし、実践的なAI人材育成につながるよう一層の取組を進めていくとしている。


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