帝京大の研究グループは、ミミズの切断実験でタンパク質を作る遺伝子群の一つ「soxC遺伝子」が体の器官再生を促すことを発見したと、英国の学術誌「Nature Communications」誌に8月22日付で発表した。同遺伝子を発現する「soxC細胞」はヒトにも存在しており、将来的にヒトの再生医療への応用が期待されるとしている。
発見したのは帝京大薬学部の山口真二教授と藤田俊之助教らのグループ。高い再生能力を持つ環形動物のヤマトヒメミミズを用いて実験した。その結果、soxC細胞が切断部分の再生芽に集積することが再生芽形成そのものであることを明らかにした。脊椎動物であるオタマジャクシ(ツメガエル)の尾を切断した実験でも同様の結果を得た、という。
これまでは、無脊椎動物と脊椎動物の再生芽は異なると考えられていたが、再生芽の形成時にsoxC細胞が共通して集積することから、器官再生は動物種を問わない仕組みで起こる可能性があるという。研究グループは「ヒトで傷痕を残さない治癒や器官再生を行うための新規創薬や再生医療につながることが期待される」としている。