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「山崎蒸溜所」を強調した新デザインのサントリー梅酒

山崎蒸溜所で貯蔵した「梅酒」で市場拡大を サントリー、ウイスキーの知見生かした付加価値戦略

「梅酒」は、なじみのあるお酒だが、ビールやウイスキー、ワインなどと比べて地味な存在だ。しかし「山崎蒸溜所」で貯蔵したとなると話が違う。サントリーは、高級ウイスキー「山崎」をつくる京都郊外の山崎蒸溜所のウイスキー熟成で使用した樽(たる)で貯蔵した「山崎蒸溜所貯蔵梅酒」をリニューアルし、市場に本格投入した。

 ▽梅酒づくりも60周年

サントリーは4月26日、東京都内でサントリー梅酒「山崎蒸溜所貯蔵梅酒」セミナーを開催。洋酒づくりの経験を生かした新たな魅力を持つ梅酒について情報発信した。

「ウイスキー樽で貯蔵したら想像以上においしかった」と話す酒巻真琴・事業開発部長

サントリーは今年、ウイスキーの山崎蒸溜所100周年を迎えた。この日のセミナーに登壇した同社RTD・リキュールスピリッツ事業部の酒巻真琴・事業開発部長は「サントリーが梅酒づくりに60年の歴史があることを知らない人が多い」とした上で梅酒への取り組みについて説明した。

 ▽工場長の発想から誕生

サントリーの代表的ウイスキー「山崎」を生んだ山崎蒸溜所

「山崎蒸溜所貯蔵梅酒」は、ウイスキーづくりの中で「梅酒を貯蔵した樽で新たなウイスキー原酒をつくってみよう」という山崎蒸溜所工場長の発想がスタートだったという。梅酒をつくった樽で熟成したウイスキーの古樽で、さらに梅酒を貯蔵したら「味わい深い梅酒ができた」という。

サントリーはこうしてできた山崎蒸溜所貯蔵の梅酒を2002年、「焙煎(ばいせん)樽貯蔵梅酒」として限定発売。その後も「山崎蒸溜所貯蔵梅酒」シリーズとして順次、リニューアルをしてきた。

 ▽ウイスキーファンに狙い

ウイスキーを3回以上熟成した樽で梅酒を貯蔵する

今回のリニューアルは「山崎」ブランドを前面に押し出したのが特徴だ。酒巻部長は「『あの山崎蒸溜所から梅酒?』というウイスキーファンの目を梅酒に向けるのが狙い」と説明。サントリーによると、梅酒市場はカジュアルな梅酒より、少し高価格帯でも付加価値のあるものが伸びているという。「梅酒から足が遠のいていたウイスキー好きな人に興味を持ってもらいたい」として、甘いイメージが強い梅酒の瓶をウイスキーのような外見に変更した。

 ▽1万5000円の限定品も

数量限定で発売する「サントリー梅酒〈山崎蒸溜所貯蔵梅酒〉EXTRA BLEND」

また、「サントリー梅酒〈山崎蒸溜所貯蔵梅酒ブレンド〉」(750ミリリットル、希望小売価格・税別1365円)に加え、グレーンウイスキーをブレンドした「ウイスキーブレンド」(同、3000円)、グレーンとモルトウイスキーをブレンドした「リッチアンバー」(同、5000円)もリニューアル。5月16日にはさらにブランデーベースの梅酒「EXTRA BLEND」(700ミリリットル、1万5000円)も投入し「プレミアム感」を高める戦略を打ち出す。

 ▽ストレートでも、ロックでも、ソーダ割りでも

「味だけでなく、香りも楽しんでほしい」と話すシニアスペシャリスト藤原裕之氏

セミナーでは開発に携わった商品開発研究部シニアスペシャリスト藤原裕之氏が製法や食事との相性について解説した。藤原氏は、通常の梅酒が約1年半かけて製造するのに対し「山崎蒸溜所貯蔵」はさらに1年、内側を加熱するなどして加工した古樽で貯蔵、「厚みのある味わいを実現した」と説明。「梅酒ブレンドは、ロックやソーダ割り、ウイスキーブレンドはロック、リッチアンバーはストレートがおすすめ」だと言い、さまざまな食事シーンに対応できるとした。酒巻部長も「ウイスキー好きな人だけでなく、梅酒市場を活性化できるポテンシャルがある商品だ」と強調。今後、“地味”だった梅酒が脚光を浴びる可能性がありそうだ。

料理に合わせ、ストレート、ロック、ソーダ割りで食事を演出

 


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