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地域差が拡大する都市の活力 藤波匠 日本総合研究所 調査部 上席主任研究員 連載「よんななエコノミー」

 仕事柄、しばしば全国各地の都市を訪問します。統計から分かる都市の現状は重要ですが、同時に、街を歩いて感じられる活気や賑わいも、都市の実態を理解するうえで欠かせない要素です。

 最近、地方の都市を訪れて感じることは、都市と郊外、あるいは県をまたいだ中核的な都市同士で、賑わいや都市活力の違いが一段と明確になってきていることです。

 まず、一部の県では、県庁所在地やそれに準ずる都市で、統計上は人口減少であっても、街に出ると賑わいが維持され、場合によっては、以前より盛り上がっている例がみられます。こうした都市では、中心市街地の再開発が進み、駅近に高層マンションが建設される光景をよく目にします。県全体では人口減少が進む地域でも、その中核的な都市では、億ションが売り出されていたりします。

 こうした都市の再開発エリアに人口を供給しているのは、主に郊外エリアです。地方で公共交通の衰退が進む中、運転免許の返納が求められ、郊外では生活しづらくなった高齢者の一部が、都市部へ移ってきているとみられます。駅近の高層マンションを購入している場合もあるでしょうし、高齢者施設に入居する場合もあるでしょう。また、農村エリアでも、近年、核家族化が急速に進行し、結婚した若夫婦が親元から離れて都市エリアに居を構える例も少なくないようです。

 郊外から都市エリアに移り住むこと自体は、2000年ごろから地方都市で盛んに奨励されたコンパクトシティーの理念にかなうものです。ただ、15年以降、わが国は地方創生に取り組み、市町村ごとに人口の維持を目指す計画を推進してきたにもかかわらず、郊外エリアに位置する市町村の多くでは、急速な人口減少を食い止めることができていません。仕事が乏しく交通も不便な地域では、生活を維持することが難しいという現実が、人口移動を通じて表面化しているのです。

 また、県をまたいで中核的な都市同士を比較しても、賑わいや都市活力の違いが明確になってきている印象です。宇都宮では、23年に開通したライトレールを核に、車社会からの転換やコンパクトシティーの形成に舵を切ったことで、中心市街地に民間投資を呼び込むことに成功しつつあります。また、金沢や広島、長崎、札幌、松山などでも、都市の再開発のみならず、インバウンドを含む観光需要を取り込んだり、産業集積を進めたりすることで、人口と賑わいを維持している都市もあります。

 一方で、中核的な都市でありながら、衰退の印象をぬぐえない例も少なくありません。コンパクトシティーの形成や産業集積が思うに任せず、インバウンドの呼び込みにも成果が上がっていない都市では、人口減少に歯止めがかからず、デパートや映画館などの都会的な施設も次々と撤退し、昼も夜も街に活気がみられません。

 活気が乏しい都市では、その状況自体がさらなる人口流出を招く負のスパイラルに陥っているとみられます。地方都市間の格差は、今後、一層顕著となっていくことが懸念されます。

(日本総合研究所 調査部 主席研究員 藤波匠)

KyodoWeekly(株式会社共同通信社発行)No.35からの転載】


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