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秋田魁新報に農業ジャーナリスト賞 信濃毎日は特別賞 農政ジャーナリストの会

 農政ジャーナリストの会は6月10日、秋田魁新報社の連載企画「地方創生 失われた10年とこれから」など7作品に第40回農業ジャーナリスト賞を授賞した。2024年に発表された記事、書籍、放送、映画などを対象に、計25点の中から選んだ。このほか、藤井満氏の著作「能登のムラは死なない」(一般社団法人農山漁村文化協会刊)、NHK名古屋放送局のETV特集「タマゴ家族」、映画「村で生きる」(小林瞬・中村朱里監督)が本賞を受賞した。

 また、北海道協同組合通信社の「ニューカントリー」誌の連載記事「北海道の米作りのいま~水田活用の直接 支払い交付金の見直し」と、NHK福井放送局の福井ザクザク!掘らナイト「描けるか 農業の未来図」が奨励賞、信濃毎日新聞社の「鍬(くわ)を握る 満蒙開拓からの問い」が特別賞を受賞した。

 「地方創生 失われた10年とこれから」は、人口減少率が全国で最も高い秋田県の「地方創生」を検証した10部70回の長期連載。23年秋から秋田県だけでなく、全国各地を取材した。表彰式で取材班を代表して相澤一浩社会部部長代理兼論説委員が「徹底して秋田からの視線にこだわった。希望を持てる社会を目指して、県民が前を向ける報道を続けたい」と述べた。佐藤朋紀社会部次長は「(地方創生は)政府にとって単なるスローガン、地元が自分で考えなくてはならないと気がついた」と取材を振り返った。

 「能登のムラは死なない」は、朝日新聞社の記者として2011年から15年まで輪島支局に駐在した著者が、当時訪ね歩いた場所を24年1月1日の能登半島地震後に再取材し、地域の強靱さを描いたルポルタージュ。

 「タマゴ家族」は、愛知県・渥美半島を舞台に採卵鶏の事業承継を巡って対立する父子の葛藤を描くドキュメンタリー。「ケージ飼い」か「平飼い」かの経営方針を描くことで、大規模化が急激に進み、その見直しが始まっている養鶏業界の変遷を伝えている。

 「村で生きる」は、熊本県産山村で阿蘇伝統の「あか牛」の飼育にこだわり、草原を守り地域循環型の畜産に挑戦を続ける親子の日常を追ったドキュメンタリー。

 表彰式で、選考委員を代表して阿部道彦(一社)農山漁村文化協会理事・制作局長が「地域つくりの姿を示している」など、各作品を講評した。同委員の榊田みどり明治大学客員教授は「テーマは地味でも、どの作品もレベルが高い」と全体の印象を語った。


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