昨年1月に発生した能登半島地震の損害に対して支払ったJA共済連の支払共済金額が1500億円を超えたことが1月28日、分かった。JA共済連の村山美彦理事長が、東京都内で同日開かれた地方新聞社東京支社長らとの「意見交換会」で明らかにした。
村山理事長は「能登地震の支払金額が熊本地震の規模を上回り、自然災害の支払いで3番目の大きな金額になった」と述べ、過去の大規模自然災害の教訓を生かした迅速な支払い対応を強調した。
その上で「もちろん共済金を支払って終わりとは考えていない。JA共済連は、1人は万人のために万人は1人のためにという相互扶助の事業理念を持つ協同組合であり、能登が復興するまでみんなで支えようと決意している。能登が復興できないということになれば、過疎地は切り捨てられるという(悪い)前例になってしまう」と述べ、能登復興に全力で取り組む考えを示した。
JA共済連が能登半島地震の建物・家財の損害に対して支払った共済金額は1月10日時点で1505億8千万円に上る。この金額は、2011年の東日本大震災の9377億円(支払件数68万4897件)、22年の福島県沖を震源とする地震の1554億円(同18万7510件)に次ぐ、3番目に大きな規模となる。これまで3番目の規模だった16年の熊本地震の支払金額は1487億円(同9万4223件)。
質疑応答では、昨年の能登半島地震をはじめ、過去に起きた阪神大震災や東日本大震災、熊本地震の各地で被災者に寄り添う報道を続けてきた地元地方新聞社の東京支社長らから、今後30年以内の高い発生確率が指摘されている「南海トラフ巨大地震」の損害対応の体制やJA共済連の被災地支援の具体的な取り組みについて質問があった。
質問に答えて能登復興に向けた今後の具体的支援に言及した村山理事長は「農業を続けていける、地域で暮らしていけるように支援することが必要だ。復興を目指して被災地で活躍する方々に対してどんな支援をしていけるか、一緒に何ができるかを今、考えている。ぜひ現場の声をお寄せいただきたい」と述べ、被災地に根差した報道を続ける地方新聞社からの“提案”にも期待を寄せた。