b.[ビードット]
JAPIC「山陰地域総合開発計画」の概要

山陰はスローライフの先進地 効率一辺倒でない豊かさ魅力 JAPIC地域総合開発計画提言

 津軽海峡トンネル構想など将来の国の発展を見据えた12の重点事業案を示した「国土造りプロジェクト構想」の実現に取り組んでいる民間団体・日本プロジェクト産業協議会(JAPIC、ジャピック、東京都中央区)は、同構想をさらに具体化するために策定した、12の重点事業地周辺地域対象の「地域ブロック総合開発計画」の第5弾となる「山陰地域(鳥取・島根県)総合開発計画」をこのほどまとめた。

 この地域ブロック総合開発計画は、JAPIC国土・未来プロジェクト研究会内の地域ブロック総合開発計画委員会の各ワーキンググループが策定。今回の山陰を含め、畿北(近畿北部・北陸嶺南)、北海道、四国、沖縄の計五つの地域を対象にした「地域ブロック総合開発計画」をまとめている。

 大規模な12の事業案が並ぶ「国土造りプロジェクト構想」に加えて「地域ブロック総合開発計画」を策定した狙いについて、9月14日に東京都内で記者会見したJAPIC国土・未来プロジェクト研究会の藤本貴也委員長(パシフィックコンサルタンツ特別顧問)は「“プロジェクト構想”の事業地域一帯の具体的な開発計画を示すことによって、地元の“プロジェクト構想”への関心をさらに高めてもらうとともに、これまで開発に向けた研究が不十分だった地域ブロックにJAPICが焦点を当て、時代に即した新たな発展構想の下、各ブロックの活性化を目指す目的がある」と話した。

記者会見で山陰地域総合開発計画を説明するJAPIC国土・未来プロジェクト研究会の藤本貴也委員長(右)と同研究会山陰ブロック総合開発ワーキンググループ長の井上聰史・国際港湾研究所代表=東京都中央区の鉄鋼会館、2026年9月14日

 

 今回の山陰地域総合開発計画は、山陰の課題として、人口減少や高齢化、東京以外からの交通アクセスの不十分さ―などを指摘する一方で、これらの一般には地域活性化を推進する上でのいわゆる「弱み」とされるこの山陰の特徴にこそ、山陰発展の“鍵”があるとの立場から、「効率性中心でない豊かなスローライフ」を目指した地域づくりを提唱した。

 大都市圏から遠い山陰のこの高速交通体系の不備が、大規模開発を抑制して「豊かな自然・文化・歴史」を山陰が保つ結果をもたらし、これらの“豊かな自然・文化・歴史” は「効率本位の生活から離れ、個人の暮らしの豊さを重視する新しい生き方=スローライフ」を求める人が増えている時代背景の中で、山陰の価値を高める「大きな財産」になっていると強調している。

 その上で、スローライフを展開できる全国の先進モデルとしての山陰を国内外に発信・アピールするために必要な、各地の食や文化遺産、海辺の景観などを生かした具体的なまちづくりのプロジェクトを大きく7項目に分けて提示した。

豊かなスローライフ形成を提言した「山陰地域総合開発計画」

 

 9月14日の記者会見に同席したJAPIC国土・未来プロジェクト研究会の山陰ブロック総合開発ワーキンググループ長を務めた井上聰史・国際港湾研究所代表は「これまでのJAPICの提言は、多くの人口で成り立つ大都市圏の地域づくりを支える大規模プロジェクトを提言することが多かったですが、こういう“JAPIC路線”を、もうそろそろ変える時ではないか、と(検討当初に)中村先生(現JAPIC国土・未来プロジェクト研究会最高顧問の中村英夫・東京都市大名誉総長)に話したことがあります。いわゆる働き方改革関連法の制定から10年近くたち、日本もようやく多くの皆さんが“暮らしやすさ”に目を向ける時代になりました。いつまでも大規模プロジェクトのみを地域づくりの“正解”とするのは違うのではないかと、その地域の住民や自治体の首長も感じていると思います。こうしたことを考えてもらうため、われわれとしては(問題提起の)球を投げ込みたいという思いで(山陰地域総合開発計画)を発表しました」と語った。

大臣室で山陰地域総合開発計画を金子恭之国土交通相(当時、中央左)に手渡したJAPICの進藤孝生会長(中央右)=東京都千代田区の中央合同庁舎第3号館、2026年9月14日

 

 JAPIC が策定した五つの「地域ブロック総合開発計画」はすべて国土交通相に手渡している。第5弾の山陰地域総合開発計画は、JAPICの進藤孝生会長が9月14日、国交省を訪れて、金子恭之国交通相(当時)に手渡した。国が定める国土の将来像「国土形成計画」の施策に生かしてほしいと要望した。


関連記事

スタートアップ

スポーツ

ビジネス

政治・国際

食・農・地域

株式会社共同通信社