ベンチャー企業のサリバテック(山形県鶴岡市)が展開する、唾液(約0.1㏄)の成分測定値をAIが解析して6つのがんの罹患リスクを調べるがんリスク検査「サリバチェッカー」の受検者がこのほど、延べ9万人を突破した。同社は「大手保険会社や商工会議所と提携した検査機会提供の取り組みなどが受検者増加の要因」と分析している。
このがんリスク検査は各種がんの早期発見を狙いにサリバテックが2017年1月、有料事業として提供を開始。口腔がん、肺がん、乳がん、膵臓(すいぞう)がん、胃がん、大腸がんの6つのがん罹患リスクをAIが判定する
この検査は唾液に含まれる多数の小さな分子(代謝物)に着目。同社によると、これまでの研究から、がんに罹患すると「ポリアミン」など唾液に含まれる代謝物の特徴が変化することが分かっており、検査ではこれらがん細胞に特有の複数の代謝物の濃度を、サリバテックの衛生検査室(山形県鶴岡市)で測定し、その測定値をAIが解析してがん罹患リスクが「高い」または「低い」と判定する、という。
この検査を受けることができる提携先医療機関は1900施設以上。受検できる歯科医院も増えている。また企業の福利厚生の一環として従業員に検査機会を提供する企業は約900社以上に上るという。

サリバテックの創業者で代表取締役CEO(最高経営責任者)を務める砂村眞琴・杏林大医学部教授は「現在、検査対象となるがん種の拡充、検査精度のさらなる向上に取り組んでいる。がんのスクリーニング検査が社会に広く浸透して当たり前となる環境の実現に向け、受検者数の増加を目指していきたい」と話す。
医療機関でなく、個人で検査キットを購入して受検する場合の費用は2万6400円。定期的に受検する「定期コース」(解約の申し出がない限り自動継続)の場合は割引があり、年1回受検コースは1回1万9800円、年2回受検コースは1回1万6800円、年3回受検コースは1回1万5600円。価格はいずれも税込み。リスク判定結果の通知は検査実施日から約2~3週間で通知されるという。検査キット申し込みや検査方法などの詳細はサリバテックのホームページ。