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生成AI時代の「夏休み」 よんななエコノミー 吉無田修

 わが家には5歳のヨークシャーテリアのオス、ルーカスがいる。雷が苦手だ。救急車が近くを通ると、遠吠えしてしまう。

 きっかけはニューヨーク特派員時代。旅行に出かけた向かいの一家から、ミニチュアピンシャーのプゥちゃんを預かった。犬のいる暮らしにあこがれ、帰国後にルーカスを迎えた。今ではすっかり家族の一員。最近は朝4時台に起こされ、暑くなる前の公園や住宅街を散歩するのが出勤前の日課だ。

 休日の行き先を選ぶ基準も変わった。ルーカスと一緒に行けるかどうかが大事な条件だ。カーシェアサービスはペットの同乗を認めない事業者が多いが、ホンダの「エブリゴー」はペット用のキャリーケースに入れれば乗せられる。国内の航空会社では、スターフライヤー(北九州市)が小型犬を客室内に同伴できる。

散歩中のルーカス

 

 宿は星野リゾート(長野県軽井沢町)をよく使う。愛犬と泊まれる施設は全国42カ所。今年3月には、混合ワクチンの接種要件を国際的なガイドラインに合わせて年1回から3年に1回へ緩和した。毎年の接種が負担となり、旅行を控えていたシニア犬などに配慮したという。多少高くても、ここまで考える事業者を選びたくなる。

 先日は千葉県茂原市の複合型ドッグリゾート「ラフラフ千葉」に行ってきた。7月に本格開業したばかり。2020年に閉園した観光施設の跡地を、市の民間提案制度を通じて再生した施設だ。森からウグイスのさえずりが聞こえ、ドッグラン付きのトレーラーハウスが並ぶ。犬と過ごせる屋内ラウンジの本棚にあった絵本を手に取った。

 ハンス・ウィルヘルムの『ずーっと ずっと だいすきだよ』。犬のエルフィーと少年は一緒に育つが、少年が成長するにつれ、老いたエルフィーは階段も上れなくなる。同じ時間を過ごしているのに、流れる速さが違う。ルーカスをなでながら、目頭が熱くなった。

 生成AIに代替できないものは何か。いま、多くの職場で交わされている問いだ。パソコンの前で完結する作業は、いずれAIに置き換わるとの声も聞く。ニュースメディアも例外ではない。記事を読むのは、もはや人間だけではない。取材に費やした時間の重みを、AIにどう伝えればいいのか。

 ソファで無防備に仰向けになって眠るルーカスを見ていると、ふと思う。効率化できないもの、否、効率化してはいけないもの。自然に囲まれ、生き物と戯れ、感情を揺さぶられる。AIには、そもそも「時間を過ごす」という感覚がない。

 この夏休み、ルーカスのリードをグイグイ引っ張らず、ゆっくり歩きたい。

(共同通信デジタル事業部 吉無田修)

【KyodoWeekly(株式会社共同通信社発行)No.32からの転載】


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