20年12月末まで開催予定の「リョーマの休日~自然&体験キャンペーン~」。

「自然&体験キャンペーン」が始動、2019年高知観光の知られざる魅力

 

■冒険心をくすぐる「龍河洞」

 続いて足を運んだのは高知県東部の三宝山(香美市)の中腹にある龍河洞。日本三大鍾乳洞の一つで、国指定史跡・天然記念物だ。総延長は4キロほどあり、そのうち1キロが観光コースとして整備されている。

龍河洞の入り口。観光コースになっているのは東本洞。途中から冒険コースに枝分かれしている

 地元の龍河洞商店街を抜けて鳥居をくぐると、急な石段が待っている。石段を登り切ると、山腹にある洞窟が口を開けていた。夕刻とあって、外気温は10度以下となり冷えていたが、洞窟内は年間を通して12度~15度程度。歩いているうちに、じわりと汗も出てくるくらいだ。出口まで30分あまり歩く観光コースは、足元が整備され、ライトも灯っており、危険はない。ただ、道中には、かがんだり腰をくねらせたりしないと通れない箇所も多い。

龍河洞へと続く石段。脇に上りのエスカレーターもあるので安心。
土器が鍾乳石と一体化してしまった「神の壺」。龍河洞の出口付近には弥生時代の住居跡があり、先住民の置き忘れと思われる、世界唯一の考古学資料。

 1センチ育つのに100年かかるといわれる鍾乳石。この規模の鍾乳洞が出来上がるのには、1億7000万年以上はかかるという。洞窟を愛する地元の有志も管理に携わっている。商店街でペット用の鶏を育てている中村大輔さんもその一人。「仕事で2日に1回は入るのですが、鍾乳洞の中にいると、悠久の時とか宇宙とかいった、大きなものと対峙する自分を感じられるんです。龍河洞から見たら、僕なんてちっぽけだなと」と洞窟の魅力を語る。

奥に見える石柱がサボテンのように見える「サボテンの丘」。洞窟内で、最も奥行きが感じられる場所。
バルーンや電飾で彩られた洞内をハンドライトだけで進む、光のアートイベント(期間・曜日限定)。龍河洞を盛り上げるために、さまざまなイベントも。

 冒険感を高めたい人のためには、冒険コースも用意されている。観光コースと違って洞内に明かりはなく、漆黒の闇の中をヘルメットにつけたヘッドライトを頼りに、200メートルを90分かけて進む。狭いところを這い、木のはしごを上り…。洞窟探検隊さながらの気分を味わえそうだ。

 龍河洞の鍾乳石は、いまだ成長を続けている。忘れがちだが、鍾乳洞は生きているのだ。「おすすめの季節は夏。水量が増えてみずみずしくなり、より生きてる感じがするんです。中は天然のクーラーのように、とても涼しくて気持ちがいい」と教えてくれた。今後、夏に水をたたえる西本洞にも、新たなコースを整備予定だという。防水装備で入洞するこちらは、さらに冒険度が高そうだ。

龍河洞前の商店街にあるCafe Ayamでは、中村さんの奥様が、高知の地鶏である土佐ジローの卵を用いた食事とスイーツを提供している。
ペット用の鶏の飼育もしているCafe Ayam。高知県は、珍しい鶏の産地でもあり、龍河洞には「龍河洞珍鳥センター」が併設。

公益財団法人龍河洞保存会
0887-53-2144
香美市土佐山田町逆川1424
ryugadou.or.jp

■高知名物の王道、カツオのわら焼きタタキ

 高知一日旅の最後に、地元サラリーマンの宴会場として人気の「一旬」を訪れた。カウンター席につくと、満席の座敷から、賑やかな談笑が漏れ聞こえる。活気あふれる高知の夜だ。

ハガツオのタタキ。一般的なタレのタタキもあるが、生のニンニク、わさび、ミョウガをのせ、塩をつけて食べるのがおすすめ。

 「カツオがなくてごめんなさい」
代わりに出てきたのは、ハガツオのタタキだった。カツオの赤黒さはなく、身は淡いピンク色。「ハガツオは足が早いので、県外ではあまり食べられません。でも、どちらかというと、私はハガツオのほうが好き」とスタッフが打ち明けるだけあって、身が締まっていて、味は白身魚のように淡白なハガツオは、カツオのタタキのイメージを一新させた。わらであぶられていて、野性味あふれる香りも何とも言えない。自然&体験キャンペーンでは、わら焼きタタキ作り体験もイチオシだというので、試してみたいところだ。

厨房で、わら焼きをしているスタッフ。
一旬の入った建物の外観。海鮮に限らず、高知産の新鮮野菜、土佐和牛、地酒に加えて、パティシエが作るスイーツまで味わえる。

一旬
088-824-2040
高知市廿代町8-1
www.issyun.jp

 知られざる高知の自然。今回体験できたのは、そのほんの一部分だ。モノを買うのと違って、体験観光は「感動」や「驚き」など「ヒトの記憶」に刻まれるもの。だから、一つとして同じものがない。生きた自然を身近に感じる高知旅。自分だけの「感動」を探しに訪れてみては?

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