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グランプリを受賞し、涙ぐむ共立女子高の生徒

自分褒める漫画アプリが最高賞 共立女子高が受賞、高校生ビジネスプラン・グランプリ

 高校生の創業意欲の向上を目的とする「第13回高校生ビジネスプラン・グランプリ」の最終審査会(日本政策金融公庫主催)が1月11日、東京都内で開かれ、ファイナリスト10組が、応募総数5640件の中から最終審査対象10件に選ばれた各自のビジネスプランを発表し、社会的意義などを審査員にアピールした。最優秀のグランプリは、利用者の自己肯定感を高める電子漫画を人工知能(AI)で生成するアプリ提供事業を計画した共立女子高(東京都)のグループが受賞した。

 この漫画アプリは、利用者が自分を褒めたくなるような、自身の日常の出来事(テストの高得点など)を入力すると、自身が主人公となるその出来事に沿った内容の電子漫画を制作。日ごろ承認欲求が満たされていないと悩んでいる若者などが「自分が主人公」となるその漫画をスマホで読んで、「気軽に自分を褒めるようになってほしい」という思いが込められているという。

 グランプリを受賞した共立女子高生徒3人のグループのうちの1人は受賞あいさつで、「グランプリは本当にうれしい。私たちは何百時間も話し合ってきた。3人という少ない人数で(今回のアプリプランを考えるのは)大変だったが、皆さんが私たちを認めてくださった。グランプリで私たちの“承認欲求”も満たされてうれしい」と語った。

 7人の審査員を代表して審査講評を述べた審査員長の高橋徳行・武蔵大学長は、「どのプランがグランプリになってもおかしくなかったが、(グランプリ受賞アプリは)世界で評価されている日本の漫画を活用した点が高く評価された」と話した。

準グランプリに輝いた市川高3年の那須航さん(右)。左は日本政策金融公庫の田中一穂総裁=東京都文京区の東京大伊藤国際学術研究センター 伊藤謝恩ホール、2026年1月11日

 グランプリに次ぐ準グランプリには、自分で設定したテーマの研究に打ち込む高校生と大学の研究室をつなぐマッチングサービスを考えた市川高(千葉県)の那須航さん(3年)が輝いた。那須さんは「問いを持つ者は等しく研究者であるという考え方は普遍的であり、全国に8万人いる研究に打ち込む高校生と大学の研究室をマッチングサイトでつなげたい。高校生側は無料で利用できるのがこのサービスの特長」と説明した。現在15大学が活用を検討中で、今年4月に事業会社の法人化を予定しているという。

 そのほか審査員特別賞を名久井農業高(青森県)生徒のグループ、長田高(兵庫県)の黑阪(くろさか)航平さん(1年)、阿南高専(徳島県)・東京高専(東京都)の生徒のグループの計3組が受賞した。

審査員特別賞を受賞した(左から)名久井農業高生徒の3人、長田高1年の黑阪航平さん、阿南高専・東京高専生徒の5人

 この日は、審査結果発表の前に講演があった。お年寄りらが転倒してもけがをしにくい「転んだ時だけ柔らかくなる」転倒骨折リスク低減用床マット「ころやわ」を開発したMagic Shields(マジックシールズ、浜松市)創業者で同社CEO(最高経営責任者)の下村明司さんが、起業して事業を軌道に乗せるまでの苦労や起業の面白さなどを語った。

 下村さんは講演後、ファイナリストらと意見交換。起業を目指す高校生からさまざまな質問を受けた下村さんは「起業とは“使命”、命を使うこと。頭だけで考えたらとてもできないと思うことでも、起業してやりたいと思ったことが社会に役立つという使命を感じるなら、とにかくやってみることだ。最初は10やって10失敗するだろうが、挑戦を繰り返しているうちに失敗は10のうち9.9になる。失敗の後に何をするかが大事だ」などと述べた。

起業を目指す高校生の質問に答えるMagic Shields CEOの下村明司さん(左奥のマイクを持つ男性)

 高校生ビジネスプラン・グランプリは2013年度から、新型コロナで中止した20年度を除き毎年度開催。これまでに参加した高校生は延べ約12万人に上るという。参加者の中には第3回大会でセミファイナリスト賞を受賞した、人材紹介事業タイミー(東京都港区)の小川嶺代表取締役らがいる。

 主催者として冒頭あいさつした日本政策金融公庫の田中一穂総裁は「先行きが分からなくなっているいまの不透明な時代にこそ、リスクを取って事業を起こす“起業家精神”が重要である。日本の未来を皆さんにつくっていただきたい」と述べ、受賞者らの今後の起業に期待を寄せた。


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