EYストラテジー・アンド・コンサルティング(東京都千代田区)は、エンジン車の製造プロセスにリマニュファクチャリング(リマニ)を導入することで、二酸化炭素(CO2)排出削減効果で電気自動車(EV)の優位性を上回るとする試算結果と提言をとりまとめ、発表した。温室効果ガス排出量を実質ゼロにするカーボンニュートラルの観点から、EVがエンジン車に取って替わるべきだという考え方に一石を投じる結果となった。
リマニとは、企業が使用済みの製品から部品を回収して再利用し、市場に提供する仕組みをいう。提供する部品は、新品かそれ以上の品質であることを企業が保証する。部品を原材料まで分解して再利用し、新品の部品を製造するサーキュラーエコノミーとは異なる。
同社は、製造プロセスで50%の部品を再利用するエンジン車(リマニ車)と新品のEVを対象に、製造、組み立て、走行、廃棄、リサイクルの全工程でCO2排出量を試算し、比較した。その結果、リマニ車は、5年間走行した場合でもCO2排出量の削減効果がEVの優位性を上回るという。
同社は、EVは①部品点数が少なく雇用への影響が大きい②基幹部品であるバッテリー供給を資源国に依存する―といった雇用、経済安全保障の面で日本に望ましくないとし、カーボンニュートラルの観点も合わせリマニ車への取り組みを進める利点があるとした。
今後、燃料を合成燃料(e-fuel)に移行できれば、さらにEVの優位性を上回ることから、エンジン車のリマニ化と、サプライチェーン改革による国内生産比率の向上を経営戦略に組み込むことを日本の自動車業界に提言している。