日本生活習慣病予防協会(東京都港区)は、超高齢社会を迎えている日本で近年、指摘されている心身の機能が低下する「フレイル(虚弱)」「プレフレイル(フレイル予備群)」についての実態調査を実施。「医師の7割超が働き世代でプレフレイルが増加していると回答した」などとする調査結果を公表した。
調査は2023年3月27日~4月26日、内科医・産業医・整形外科医を対象に実施。330人(医師各110人)のインターネットでの回答を分析した。
同予防協会によると、「フレイル」とは加齢に伴い、筋力や心身の活力が低下し、介護が必要になりやすい、健康と要介護の間の虚弱な状態。「要介護予備群」と位置づけられることもあるという。フレイルの一歩手前の状態が「プレフレイル」としている。
調査では、「医師の8割以上がフレイルに該当する患者の増加を指摘」「医師の75.5%が、働き世代(20~65歳)でプレフレイルが増加している」と回答。その上で「約9割の医師がフレイル、プレフレイルともに今後増加することを懸念している」という。
働き世代のプレフレイルの増加については、「筋肉量の低下」「運動習慣の低下」「外出機会の低下」など運動量の低下が原因の上位だと指摘。「長引くコロナ禍を経た影響か、筋力・筋肉量の低下、運動頻度の低下などフレイルリスクに関連する症状や状態が、比較的若い世代にも多くみられることがわかった」としている。
今回の調査結果について、同予防協会理事の吉田博・東京慈恵会医科大学付属柏病院長・教授は「プレフレイルのリスクのある年齢層として50歳代、40歳代のミドル世代を挙げた医師が少なくなかった。プレフレイルの対策として重要な栄養素は、たんぱく質の摂取だ。運動とともに、肉や魚などの主菜や手軽に摂取ができる乳たんぱく食品を主菜の調理に用いるなどの対策が考えられる」とコメントしている。