私ごとではありますが、2月14日放送のTBS系「マツコの知らない世界」にプレゼンターとして出演いたしました。テーマは「日帰り温泉の世界」とし、五感で楽しめる温泉を紹介しました。その中でも多くの反響をいただいたのが、「聴覚」で楽しむ温泉。耳で味わう温泉がイメージしづらかったようで、なるほど! そういうことか! というお声も多数いただきました。
今回は番組内で「聴覚で楽しめる温泉」として提案した、山梨県の「玉川温泉」を紹介したいと思います。
山梨県甲斐市の甲府盆地。甲府昭和インターから車で10分ほど走ると、街を抜け田園風景が広がってきます。その中から突然現れるのが「玉川温泉」。青空に溶け込むようなシンプルでレトロな外観の温泉銭湯です。
玉川温泉といえば、秋田県のそれが知名度的には高く、単独源泉で日本一の湯量、奇跡的な効能など、強烈な個性を持っていますが、こちら山梨の玉川温泉も負けず劣らず個性的です。
浴室は男女別の内湯のみ。クリーム色のタイルを基調に、オレンジ色のタイルがアクセントとなっている明るい空間。湯船は二つあり、奥は7、8人が入れそうな広々としたつくりです。そんな浴槽からは、絶えず源泉があふれ出し、浴室の床がお湯浸し。床上3センチは浸水しているであろう、気持ち良すぎる湯量です。
泉質は、ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物泉。加水、加温、循環、消毒のない完全掛け流しの湯づかいがうれしいポイントです。
かすかに黄色に色づいたお湯は鮮度抜群で、入っていると細かい泡が付き体が真っ白になります。鼻を抜けるほのかな金気(かなけ)の奥に、まとわりつくような硫黄の風味が残る繊細な香り。飲んでみると、薄甘塩ダシ味で、生まれたてのピチピチした味わいで最高でした。肌触りはツルツルヌルヌルで、また極上です。
そんな鮮度抜群な源泉を大量投入することにより、浴室内は「ドバドバ」という大音量に包まれています。このドバドバサウンドのライブ感がとても心地よい。まるで爆音の音楽ライブに行ったかのようなカタルシスを感じることができます。音の中に身を置くことで、余計な悩みや考えが吹き飛び「無心」な状態に。気づけばスッキリ癒やされている極上の「耳で味わう」湯浴みを堪能することができますよ。
温泉に入る、というと湯船にじっくり肩までつかってゆっくりと過ごす方がほとんどだと思います。私としては、温泉は五感を総動員して味わってほしいと考えています。今回は「聴覚」で楽しめる温泉をご紹介しましたが、アグレッシブにお湯と向き合うことで、今までにない発見と癒やしを体感できると思いますよ。おすすめです。
【玉川温泉】
住所 山梨県甲斐市玉川1038
電話番号 055-276-3462
URL https://www.yamanashi-kankou.jp/kankou/stay/tamagawaonsen.html
【泉質】
ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物泉(低張性 弱アルカリ性 温泉)/泉温40.6度/pH:7.8/湧出状況:動力/湧出量:不明/加水:なし/加温:なし/循環:なし/消毒:なし ◆完全掛け流し
【筆者略歴】
小松 歩(こまつ あゆむ) 東京生まれ。温泉ソムリエ(マスター★)、温泉入浴指導員、温泉観光実践士。交通事故の後遺症のリハビリで湯治を体験し、温泉に目覚める(知床での車中、ヒグマに衝突し頚椎骨折)。現在、総入湯数は2,400以上。好きな温泉は草津温泉、古遠部温泉(青森県)。
https://note.com/ayumukomatsu13/