少子高齢化で人口減少に直面する全国の自治体で加速しているのが「移住・定住」促進の試み。子育て支援の充実、手厚い就職支援、利用用途を問わない移住定住祝金の提供、空き家コンシェルジュの設置など、それぞれの自治体が工夫を凝らした特色ある移住・定住促進策を展開している。
風光明媚(めいび)な渥美半島に位置する愛知県田原市(人口約5万8千人)は、市内太平洋側のサーフィンの名所の目の前に、サーファーや海好きの人の居住を想定した「田原市サーフタウン」を構想、海まで5分の「サーフィンのまち」をアピールした移住・定住促進策に取り組んでいる。田原市土地開発公社で分譲宅地25区画を整備、2024年4月から一部区画の販売が始まっている。
同市ホームページによると、田原市サーフタウン構想は、サーフィンを切り口にしたまちづくり。「(同市太平洋側の)赤羽根地域を中心に、サーファーをはじめとする若者・子育て世代の移住数を増加させる施策などを進めることで、赤羽根地域の活力維持・拡大を図り、赤羽根地域だけでなく本市全域へと波及させ、持続的なまちづくりの発展へとつなげることを目指すもの」だ。

サーフタウン分譲宅地の「販売促進業務」を田原市土地開発公社から受託した不動産業のバンブック(東京都渋谷区)がまとめた販促用「ブランドブック」などによると、分譲宅地の街並みは、海から5分の立地を生かした米カルフォルニア風をイメージ。街路樹などでアメリカ西海岸風の景観を演出し、分譲宅地中心地から徒歩1分の場所には太平洋を望む公共展望台を設けている。
住宅の基本モデルをABCの3タイプ設けている(建物の設計はバンブック、請負工事業者はバンブック指定業者の「建築条件付き」)。

Aタイプは共働きで子どもを持たない夫婦ら向けの平屋モデル。1LDKでリビングからデッキスペースへとつながるデザインが特徴。Bタイプは2LDKを基本とした2階建てプラン。ファミリー層向けでゲストルームも設けた間取り。Cタイプも2LDKを基本とした2階建てで、高台に位置する眺望が魅力のモデル。
ブランドブックに掲載されたインタビューで田原市の山下政良市長は「移住・定住してもらいたい方は、何もサーファーに限ったものではありません。海釣りを楽しむ人でも、海沿いを歩くのが好きな人も、ただ海という存在に親しみたい人でも、田原での暮らしを気に入ってくれたのであれば誰でも大歓迎です。このまちは、1年を通じて気候は温暖で、雪もほとんど降りません。農産物・海産物も豊かで、何より人柄が温かい。田原市は“海を愛するすべての人たち”を心からお待ちしています」と語っている。
詳細は田原市ホームページやブランドサイト「LaSea -THE SURFTOWN TAHARA」。