3月16日に予定される北陸新幹線の敦賀延伸を控え、福井県と福井市が首都圏1都2県にある87の飲食店で、福井県産食材を使用したメニューが楽しめる「福井美食フェア」を、1月15日~2月14日の期間で開催している。ビジネスや観光誘致では、金沢(石川県)のブランド力に押されがちだった福井県だが、杉本達治知事以下「100年に一度のチャンス」と〝新幹線効果〟に期待を込める。
「越前ガニの知名度は十分だが、それ以外も知ってもらうことが課題」。県農林水産部の平出要課長は力説。甘エビや越前ガレイ、若狭のカキといった海の幸、とみつ金時(サツマイモ)、越前ポークなど山の幸、そして厳しい冬と名水が生む日本酒・・・。県と市では6年前から、首都圏のレストランにメニュー開発を呼びかけフェアを開催。今年は、東京日本橋の商業施設「コレド室町」の15店を含む東京都、神奈川県、埼玉県の87店が参加した。
狙いは、県産食材を扱った飲食店などがその後も取引を続ける販路拡大と、食べた人が「より新鮮なものを」と現地を訪れる観光客誘致。県農林水産部の児玉康英部長は「福井は『食』が大きな力を持つ」と話す。フェアメニューを食べた人の中から抽選で100人に、越前ガニやあわら温泉宿泊券が当たるキャンペーンも実施している。
北陸新幹線は最終的に東京―大阪を日本海経由で結ぶ総延長約700キロ。2015年に金沢までが開通。東京まで2時間半と日帰りも容易となったことでインバウンド(訪日客)も増加、16年の石川県へのビジネス、観光を合わせた経済波及効果は日本政策投資銀行調べで678億円に上った。今回の延伸で東京-福井は2時間53分となり、米原(滋賀県)で東海道新幹線に乗り継ぐ現在より約30分短縮される。同行は、福井県への経済波及効果を19年に調査した富山県と同水準の309億円と推計する。江戸から明治にかけて北前船の寄港地として栄えた敦賀までの伸びる新幹線。かつてのようにヒト、モノ、カネを呼び寄せることができるか。
フェアの詳細は専用サイトへ。