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夏の避暑客を「第二の住民」に―釧路市 地元法人が住まいを支え、JAL・ANAは航空移動を後押し

 北海道釧路市が、夏の避暑客を繰り返し訪れてくれる二地域居住者につなげようと、民間と受け入れ態勢を整えている。市は2026年2月、市内4法人を「特定居住支援法人」に指定し、住まい探しや地域との接点づくりを後押しする。さらに、日本航空(JAL、東京都品川区)と全日本空輸(ANA、東京都港区)グループは7月、釧路での滞在体験を航空費の負担軽減で支えるプランを打ち出した。釧路市の長期滞在者は15年連続で道内1位だが、夏の住まい不足と冬の需要低迷という課題を抱える。これをどう乗り越えるか。行政の制度を地元企業の具体的なサービスへつなぐ試みが進む。

▽夏の満室、冬の空き室

 夏の涼しさを売りにする釧路市の悩みは、季節による需要の偏りだ。夏に部屋を借りたい人が集まっても、冬に使い手がいなければ、空き家の改修に民間資金が向かいにくい。市は2009年、地元の不動産、宿泊、観光、交通事業者などが加わる「くしろ長期滞在ビジネス研究会」を設立し、住まいや交流を支えてきた。
 2025年度の長期滞在者は2364人だった。前年の2797人から433人減ったが、北海道の体験移住「ちょっと暮らし」の集計で15年連続の道内1位となった。延べ滞在日数は前年の3万572日から3万1628日へ増え、1人当たりの滞在日数も長くなっている。一方、夏季以外の滞在日数の合計が2割以下にとどまっているのが現状だ。
 そこで市は、くしろ長期滞在ビジネス研究会からの要望を受け、夏季偏重の課題を解決する施策を検討。季節に関わらずに釧路市を訪れて起業や副業ボランティアなどに従事する新たな二地域居住者を増やすことなどを目指して2025年8月に二地域居住等促進戦略を策定した。さらに、2026年3月には二地域居住者の住まいや生活環境を整える特定居住促進計画をまとめている。鶴間秀典市長は2026年度の市政方針で、この戦略に基づき「官民連携で取り組む」と表明し、人口減少下のまちの維持につなげようとしている。

▽地元4法人と航空会社の役割

 受け入れを支える制度となったのが、2024年の法改正で生まれた「特定居住支援法人」だ。市町村長が企業や団体を指定し、市の取り組みを補う。釧路市は2026年2月20日、いずれも市内のとっかいどう、ホクトハウス、拓殖不動産、一般社団法人くしろまちづくり研究所の4法人を指定した。
 4法人の役割はさまざまだ。とっかいどうは7月4日に東京で開いた市主催の二地域居住PRイベントを企画運営し、定員50人を上回る参加者を集めた。ホクトハウスは不動産業を生かして夏の長期滞在向け物件を貸し出し、拓殖不動産は二地域居住者にむけて売買物件を紹介。くしろまちづくり研究所は国土交通省の「特定居住支援法人モデル構築実証調査事業」を活用し、空き家のオーナーと二地域居住者をつなげ、「中短期のホテル中心」から「1カ月以上の生活型・空き家活用」へつなげる実証に取り組んでいる。
 住まいに加え、航空移動を支えるのは航空会社だ。
 JALは2026年7月、二地域居住プログラム「つながる、二地域暮らし2026」で釧路市の参加者を募集した。定員は5人で、2027年1月末までに少なくとも4回訪れることが条件。東京発の航空移動2往復相当、3万4000マイルを支援する。参加者には、JALふるさとアンバサダーも参加する市指定の座談会への出席を求める。座談会の模様はJAL機内誌「SKYWARD」3月号に掲載される予定だ。
 ANAとANAあきんども、7月に二地域居住サイト「ANAの二地域居住 BLUE SKY LIFE」で釧路の体験プランを募集した。移住・長期滞在者・二地域居住者を対象とした市の関連イベントの参加者に対し、羽田―釧路線の往復航空券に使える2万円分のANA SKYコインを提供。滞在日程の相談先にはとっかいどうが案内され、宿泊や現地移動、食事は参加者が自分で手配し、費用も負担するプランだ。2027年2月にも3泊4日以上を対象にした冬の滞在体験プランがある。

▽暮らしの接点を冬にも広げる

 釧路市が事務局を務めるくしろ長期滞在ビジネス研究会は、物件の紹介に加え、地域学習講座や滞在者同士の交流会を毎年夏季に市内で開く。2026年7月の交流会には鶴間市長も参加し、滞在者らが8グループに分かれ、自己紹介や釧路の魅力について話し合った。前年より枠を増やしても参加できない希望者がいたという。
 住まいだけでなく、地域との関係づくりも重視する。「長期にわたって釧路市の応援団のような形で関わってくださる方」。2026年2月の釧路地域協議会で、市の担当者は「関係人口」をこう説明した。接点を増やす仕組みとして、市内の公共施設の一部を市民と同じ条件で利用できる「くしろステイメンバーズカード」も、長期滞在・二地域居住者に発行している。店などで独自の特典を提供する市内事業者も募っている。
 市は夏季以外の滞在促進を目的に、9月に市内で長期滞在・二地域居住PRイベントを企画し、定員10人に達したため募集を締め切った。冬に目を向けた動きもある。
 釧路の冬の魅力の認知度を高めるため、12月4日に再度東京で二地域居住PRイベントを開催し、来年2月に釧路で開催する交流会の参加につなげる。避暑を入り口にした接点を、季節を超える関係へ育てられるか。住まいと移動、地域交流を組み合わせる試みが続く。(株式会社共同通信社 垂見和磨)


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