投資持株会社NANOホールディングス(東京都港区)は6月30日、同社の米国子会社会長で米製薬大手ファイザーがん領域CSO(チーフ・サイエンティフィック・オフィサー)などを歴任した、創薬サイエンティストのニール・ギブソンさんを招いたトークイベントを東京都内で開いた。「タルセバ」など抗がん剤の開発・実用化に関わったギブソンさんは「日本の創薬・バイオ技術には素晴らしいものがある」と述べ、日本の創薬・バイオ市場に対する米投資家の関心は高まっている、と強調した。
このイベントは東京都内で開いたNANOホールディングスの定時株主総会後に開催。ギブソンさんは、NANOホールディングスの山口泰範・CBDO(最高事業開発責任者)を相手に投資対象としての日本市場に対する認識を語り、株主らの質問にも答えた。会場には株主や投資関係者のほか、経産省の畠山陽二郎・経済産業政策局長ら来賓が招かれた。
ギブソンさんは、日本の創薬・バイオ市場の魅力としては、優れた創薬・バイオ技術関連技術のほか、海外投資を呼び込むための政策的な後押しを挙げ、「もともと日本の技術は優れており、それに加えて創薬・バイオ関連のスタートアップの成長を政府が積極的に後押している現在の投資環境は、米投資家が大きな投資価値を日本市場に見出す理由の一つになっている」と話した。
ただ米投資家の投資を実際に引き出すには「新規のイノベーション(技術革新)が必要。米投資家はイノベーションにフォーカス(注目)している」と指摘した。その上で臨床データの重要性を強調し「投資を引き出すには、投資のリスクを小さくする必要がある。そのためには、早い段階での質の高い臨床データの整備が求められる」と語った。
また自身の抗がん剤開発・実用化の過程にも言及し、「創薬事業には大きな投資が必要だが、何よりも適切な薬を適切な患者に届けるという使命の自覚とドグマ(既成概念)の打破に挑む姿勢が必要」と自身の体験に重ねてイノベーションの重要性を強調した。

対談後は株主ら4人の質問に応じた。このうち男性株主からの「バイオのコングロマリット(巨大複合企業)を目指すNANOホールディングスの経営陣とその経営コンセプトに共感して株主になったわれわれに対して求めることは何か」という質問には、「経営陣には質の高いアセット(価値)を探し、特定することが求められる。創薬事業の対象となる患者集団は必ずしも大きくなくてもよいので、投資利益率)の高いアセットを見つけるべき」などと答えた。
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