リーガロイヤルホテル大阪など国内外に15ホテルを展開する老舗のロイヤルホテル(大阪市)が4月1日、沖縄本島中部の東シナ海に面した沖縄県北谷町(ちゃたんちょう)にグループ初のホテルコンドミニアム「リーガロイヤルリゾート沖縄 北谷」を開業した。18階建ての計209室全てが広さ40平方メートル以上あるコンドミニアム(分譲集合住宅)のホテルで、ビーチ沿いの人気観光スポット「美浜アメリカンビレッジ」は目の前だ。3月16日に同ホテルで開かれたレセプションには北谷町の渡久地(とぐち)政志町長ら地元関係者180人余りが参加し、地元の期待の大きさをうかがわせた。
2024年に芝パークホテル(東京都港区)を子会社化し都内の2ホテルをグループに加えて東日本エリアを強化するなど、創業100周年を迎える2035年までに計20ホテルの新規開業を目指す“大阪ホテル界の雄”ロイヤルホテルの植田文一社長(59)に、グループ初のホテルコンドミニアム運営の意気込みや沖縄観光振興への貢献、グループホテルの成長に向けた取り組みなどを、レセプション終了後のホテル内で聞いた。
―地元の期待は大きいですね。
期待されている北谷町でホテルを開業できることはとてもうれしいです。一方で責任は重大だ、と2つの思いを持っています。責任重大というのは、先ほどのレセプションで渡久地北谷町長の話にもありました通り、「リーガロイヤルリゾート沖縄 北谷」は、多くの地元の皆さまに親しまれていた観覧車の跡地に建ちました。ここは、地元の皆さまにとっては観覧車に乗って家族らと楽しく過ごした思い出の場所なんです。その思い出の場所がホテルになるのですから、覚悟を持って地域と一体となり地域に根差したホテルにしないといけないと考えています。

―大阪ではリーガロイヤルホテル大阪が“関西の迎賓館”として関西の人たちに親しまれています。
リーガロイヤルホテル大阪は大阪・中之島(大阪市北区)で前身も含め90年余りの歴史があるホテルです。“地域密着”は当社の得意とするところと自負しています。ただここ北谷では一から始めるわけですから、一つ一つ沖縄、北谷のことを勉強させていただきながら、地元住民や北谷町を訪れるお客さまとのコミュニケーションを密にして食事面やサービス面での経験を重ね、地元の皆さまに親しまれるホテルにしていきたいです。

―「リーガロイヤルリゾート沖縄 北谷」の特徴は。
1部屋4人~6名まで宿泊できる中長期滞在の仕様が魅力です。全室IHクッキングヒーターのキッチンを備えているので自炊でき、洗濯機や洗い場付きバスなども全室にあります。中長期滞在者やグループでの利用に適しています。全209室は「物件」として分譲し即完売しました。いわゆる「ホテルコンドミニアム」といわれる分譲型ホテルです。当社は客室を購入されたオーナー様が使わない期間、ホテルの客室としてお客さまに販売し、宿泊売り上げの一部をオーナー様に支払うという仕組みです。当社のホテルではこれまで、IHキッチンやランドリーなどを備えた長期滞在者専用の仕様の部屋はありませんでした。この「リーガロイヤルリゾート沖縄 北谷」は、これまで当社のホテルをご利用いただいていたお客さまに加え、新しい層のお客さまにもご利用いただけるのではないかと思っています。那覇市内にはグループホテルの「リーガロイヤルグラン沖縄」がありますが、こちらは街中の観光がメインの立地であり、異なる楽しみ方があります。「リーガロイヤルリゾート沖縄 北谷」は、当社にとって全てが挑戦です。

―インバウンド(訪日客)の動向など沖縄観光の特徴は。
沖縄は多くのアジアの人たちに来ていただけるチャンスの地だと思っています。今はまだ国内の観光客が多いリゾート地ですが、韓国や中国など東アジアの国・地域は、東京よりは距離的によほど近い国・地域があるくらい地理的条件に恵まれた場所にありますので、インバウンドには力を入れています。当社のホテル全ての「インバウンド」誘客を営業する「インバウンド事業部」は2024年に発足し、1年ほどになります。この事業部は海外のお客さまだけをターゲットに、インバウンド誘客に特化して営業する組織です。ここ1年間の営業活動の成果が出始めています。この営業活動は沖縄への誘客に特化したものではないですが、沖縄へのインバウンドは伸ばす余地が大きいと考えています。また当社のグループに24年11月加わった芝パークホテルの東京都内の2つのホテル(芝パークホテル、パークホテル東京)は特徴的なホテルで、宿泊者の外国人比率が95%以上です。ほとんどが欧州、北米、オーストラリアなどの人たちです。そのノウハウやネットワークを生かし、これまで当社の取り組みの中心だったアジア圏に加え、欧州、北米、オーストラリアなどへのインバウンド営業を強化しています。全世界というと大げさですが、アジア圏以外にもしっかり営業しています。インバウンド事業部のメンバーは、大阪、東京合わせておよそ20人です。

―「リーガロイヤルリゾート沖縄 北谷」のスタッフ採用方針は。
基本的には沖縄在住の方々を採用していきたいと思っています。4月1日から働くスタッフとして沖縄在住の方々を10人余り採用しました。開業当初は大阪をはじめグループホテルのスタッフが応援に来ていますが、運営が落ち着いてくれば、地元採用の人たちが活躍する体制でやっていきたいです。リーダーシップを取る人材は、当社のグループホテルから派遣出向させ“リーガロイヤルブランド”を根付かせていきたいと考えています。
―今期(26年4月~27年3月、27年3月期)はどんな年になりますか。
4月1日開業の「リーガロイヤルリゾート沖縄 北谷」は、当社が23年にホテル運営に特化したあと、初めて開業するホテルです。この沖縄北谷に続き、大阪市浪速区に4月3日開業する「アンカード・バイ・リーガ 大阪なんば」(200室)、福岡市博多区に9月開業予定の「バウンシー・バイ・リーガ 福岡博多」(117室=予定)と今年はホテルの新規開業がめじろ押しです。今期はとても重要な勝負の年になります。
また先ほど触れたインバウンド事業部の成果が数字として出る点でも重要な年です。そのほか今年はグループ全ホテルの宿泊システムを変えていきます。このシステム変更で業務の効率化やお客さまサービスの充実を図ります。さらに4月から「新人事制度」を導入します。2年前から検討を重ね準備してきた制度です。若手の育成やプロフェッショナル化、評価の見える化などさまざまな観点から人事制度をがらりと変えていきます。話をまとめますと、今年は内部的には宿泊システムと人事制度を大きく変え、外部的には海外営業を実らせ、当社の新ホテルを3つ開業させる年です。この重点4項目が当社の今年の大きな柱になると思っています。私の今年のテーマは「動」です。重点4項目が動く年ですから、私自身が率先して動き、きちんと4項目を線路に乗せ、脱線しないよう進めていくことが今年取り組むべき最大テーマです。

―人工知能(AI)のホテル業界への影響は。
旅行プラン(旅行地、宿泊ホテルなど)を人工知能(AI)で決める人もいると思いますので、AI対策に取り組み始めています。検索上位に上げるというようなこれまでの取り組みとは一段違った対応が必要となってくると考えています。AIが“介在”しても我々のグループホテルの価値が多くのお客さまに正しく伝わり、AI推奨の旅コースの中にきちんと位置付けられるようにしなければならないと考え、対策に着手しています。

―今年6月で社長就任、丸3年になります。課題は何ですか。
当社は、24年発表の「中期経営計画2026」で、新たな成長戦略の一つとしてホテルブランドのポートフォリオ(目録)拡大を掲げました。若年層への訴求力を高めたホテル群「X(エックス)カテゴリー」として二つの新ブランド、「アンカード・バイ・リーガ」「バウンシー・バイ・リーガ」を新設しました。先ほど触れた「大阪なんば」がアンカード・バイ・リーガの、「福岡博多」がバウンシー・バイ・リーガのそれぞれブランド第1号ホテルになります。このようにホテルブランドカテゴリーの再編成に着手してサービスの多様化を推進し成長を加速させていきます。この新設したアンカード・バイ・リーガ、バウンシー・バイ・リーガ以外にも、温泉リゾート型ホテルの新ブランド「ノワ・バイ・リーガ」の新設も今後予定しており、ブランドの多角化を着実に進めています。
―ブランド拡大中ですね。
ただ、これから展開するブランドでは、当社が培ってきたスタッフのサービス精神や知識、一言で言えば「リーガロイヤル精神」といったような統一的な“1本の線”が各ブランドを貫いて各ブランドがばらばらにならないようにしなければならないと考えています。例えばアメニティーなら、各ホテルのナイトウエア、部屋着などの“素材”を同じ高品質のもので統一することで、ブランドは異なるが当社のグループホテルに泊まれば、同じ肌触りのウエアでくつろげたり、サービスなら、デザインやコンセプトは違っても、あたたかさを感じるおもてなしをお届けするといった形で、この大切な“1本の線”を表現することが可能なのではないかと思っています。
うえだ・ふみかず 1966年8月生まれ、大阪府出身。1985年4月京都グランドホテル(現ロイヤルホテル)入社。リーガロイヤルホテル大阪副総支配人や人事部長、代表取締役常務執行役員などを 経て、23年6月から現職。
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