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薬剤師(右)とやりとりしながら緊急避妊薬を購入するデモンストレーション

処方箋不要の緊急避妊薬を2月から市販 第一三共ヘルスケア、情報をネットで公開

 予期しない妊娠を防ぐ緊急避妊薬(アフターピル)の「ノルレボ」が、2月2日から薬局やドラッグストアなどで市販される。医療用医薬品「ノルレボ錠」と同じ成分を同量配合し、処方箋なしで対面で購入できるOTC(Over The Counter)医薬品へと転用(スイッチ)した「スイッチOTC」の飲み薬で、7480円(税込み)。年齢制限もないが、薬剤師の面前で服用するなどの条件が付けられている。販売元の第一三共ヘルスケアは1月14日から、製品の情報や購入の流れ、服用前セルフチェックなどをブランドサイトで公開を始めた。

 ▼妊娠を8割阻止

 ノルレボは、合成黄体ホルモン「レボノルゲストレル」を1.5mg含む。服用すると脳は黄体ホルモンが多い状態と認識し、排卵を抑制するほか、受精を防ぐ、受精卵の着床を阻止する、などの作用がある。性交後72時間以内に飲むことで妊娠を81%阻止するという。妊娠中絶薬ではなく、妊娠している女性には効果がない。

  販売にはさまざまな条件が付けられている。販売できるのは、プライバシーに十分配慮でき、近隣の産婦人科医と連携態勢が取れる、などの要件を満たした薬局やドラッグストア。オンラインでは販売されない。日本薬剤師研修センターの研修を修了した薬剤師が、対面で販売してよいかどうか判断し、悪用を防ぐため購入者は薬剤師の面前で薬を飲む必要がある。購入に親の同意は不要で、年齢制限もない。

 また「飲んで終わり」ではなく、3週間後に妊娠の有無を、妊娠検査薬や医療機関受診で確認することも欠かせない。

市販されるノルレボ

▼予期せぬ妊娠リスク5人に1人

 レボノルゲストレル製剤は世界保健機関(WHO)が必須医薬品に指定し、世界中で広く使われている。国内では2011年に医療用医薬品の「ノルレボ錠」が発売された。市販化を望む声が高まったが、2017年には「時期尚早」として見送られ、2025年10月にようやくスイッチOTCとしてノルレボが承認された。

 緊急避妊薬が求められる社会的背景として第一三共ヘルスケアは、1年以内に性行為をした人の5人に1人は予期しない妊娠のリスク(妊娠を望んでいたいのに避妊に失敗した、避妊ができなかった)を経験したとする調査結果を挙げ「誰にでも起きうる」と指摘。男性用コンドームによる避妊の失敗率(妊娠率)は約2~13%と低く、国内では人工中絶が年間約13万件行われている現状も紹介している。

 緊急避妊薬への理解が十分に浸透していないのに加え、医療機関で医療用医薬品の緊急避妊薬を処方してもらうのに抵抗感があったり、土日祝日や夜間に対応してもらえなかったりなど、ハードルは高かった。

服用前の確認チェックシート

▼大きな一歩

 1月14日に都内で開いたメディア勉強会で、第一三共ヘルスケアの担当者は「普段からの計画的な避妊についての教育や知識が重要なのは大前提だが、緊急避妊薬の市販により、妊娠・出産に関する自己決定権も含むSRHR(性と生殖に関する健康と権利)の実現に向けて大きな一歩になる」と述べ、市販化により人々の意識が変化することへの期待感をにじませた。

 また、産婦人科医の高尾美穂医師は「選択肢が増えるのは必要な人にとってはありがたいことで、誰にとっても有益な変化。緊急避妊薬は日常生活でちょくちょく使う想定ではなく、救急車のような役割であり、普段から避妊の取り組みが必要。妊娠のタイミングを自分で決めるという考え方は日本では浸透していない。そのメッセージも市販化のタイミングに合わせてお届けできるといい」と述べた。

高尾美穂医師

 販売する薬局の情報については、厚生労働省がホームページに公表予定。第一三共ヘルスケアも販売開始の2月2日から、取扱店を検索できるシステムを公開する予定という。


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