東京都立産業技術研究センター(東京都江東区)はこのほど、尿の臭い(尿臭)の消臭効果を評価する方法の開発に成功した、と発表した。
尿臭の消臭効果を確認する方法を確立するため、尿臭を再現する試薬「模擬尿臭」も開発した。尿臭は、生活環境や体質の違いで個人差がある上、衛生上、実際の尿を使った消臭確認実験が難しいからだ。
今回、尿臭消臭効果を確認する方法を確立したことで、尿漏れ尿臭対策の「男性用下着」の商品化が可能になったという。プロテック(東京都港区)が開発・販売する繊維製品用加工剤「ナノファイン100」に尿臭消臭効果が確認できたため、ナノファイン100を使った男性用下着が商品化された。
尿臭消臭効果手法の開発は、下着などに付着した尿臭に関するプロテックの相談がきっかけになった。相談を受けた「臭気判定士」の資格を持つ都産技研センターの研究員が、これまで難しかった尿臭を再現した試薬の開発に成功し、この試薬を使った尿臭評価方法を確立した。
ある臭いを“尿臭”と判断するのは人間の脳(記憶)であり、機器では不可能という。尿臭試薬は、人間の嗅覚を頼りに開発。人間しか尿臭を判断できないため「試薬の調合→評価」を何度も繰り返し、多くの人がイメージする尿臭の試薬を作り上げた、という。