「mixi」、「モンスターストライク」、「家族アルバム みてね」、「TIPSTAR」など、友人や家族間で⼀緒に楽しむコミュニケーションサービスを提供するMIXI(東京)。同社は、エンジニアやデザイナーをはじめ、ビジネス職やバックオフィスまで、職種を問わず全社でAI活用に取り組んでいる。去る3月27日にはイベント「MIXI MEETUP!AI DAY 2026」を、同社の渋谷オフィスとオンラインで開催。AI活用に関するこの1年間の試行錯誤や意思決定、そして挑戦のプロセスから得た“AI実践の現在地”を披露した。

■AIは共に挑戦を重ねる「パートナー」
AIを、単なるツールではなく、共に挑戦を重ねる「パートナー」と捉え、各部門の業務にAIを組み込む“AI前提の業務設計”を推進してきた同社。今回のイベントは、全社横断のAI推進組織「AI推進委員会」(経営層と事業部門長・各部署で選任されたアンバサダーを中心に構成)を中心に、職種を問わず全社で進めてきたこの1年間のAI活用の取り組みを共有することを目的に開催された。当日は、同社代表取締役社長の木村弘毅氏による開会宣言からスタートした。
木村氏は、多⾔語を操るAIアバターとなって登場。MIXIが大切にしてきた「心もつながる場と機会を提供したい」という理念と、時代の変化に応じて挑戦を続けてきた歩みを語った。そして、AIについて、単なる技術ではなく、人と人の距離を縮め、新しいつながりを生み出すパートナーとして向き合っていく姿勢を宣言した。
■「全工程にAIを」、全23の実践事例を公開
「全工程にAIを」と目標を掲げ、AI活用を進めてきた同社。各セッションでは、エンジニア・デザイナー・ビジネス・コーポレートといった職種を横断し、AI活用を業務標準としたこの1年間の取り組みについて、全23の実践事例を公開した。
その一つとして、デジタルエンターテインメント領域の「モンスターストライク」については、1万体を超える膨大なキャラクター資産を最大限に活用する、独自の「クロスモーダル検索」システムの開発事例を紹介した。
スポーツ領域では、「FC東京」の広報業務をAIで高度化する事例を紹介。1試合につき約1万枚もの写真から適切なものを選定する業務に際し、顔認識と生成AIを組み合わせた自動タグ付けシステムを構築。また、来場者アンケート分析には、文脈を捉えて自由記述をグループ化するAIツールを導入した。

■現場だけでなくコーポレート領域にも
デザイン本部がこの1年間で取り組んできた実践的なAI活用事例としては、UI(ユーザー・インターフェース)/UX(ユーザー・エクスペリエンス)のデザインで、対話型AIを用いたノーコードでの独自プラグインを開発し、レビュー時間を半減した例を紹介した。これにより、本来議論すべき「ユーザー体験」の追求に注力できるようになったという。また、CG映像制作でも、生成AIの活用により、制作期間とコストの大幅な圧縮に成功したことを紹介した。
こうした事業の現場における挑戦と並行し、企業の経営を支えるコーポレート領域でもAIの活用を進めた。法務部門では、プログラミング未経験からノーコードで「法務手続きQA BOT」などを独自開発した事例を、経営推進部門では、意思決定から実績分析までのサイクルをAIで変革する取り組みを紹介した。知財部門でも、特許調査や商標区分判定などの業務にAIを活用している。
■「全社員がAIを使うこと」をゴールに
クロージングセッションの基調講演では、全社AI推進をリードした取締役上級執行役員、はたらく環境推進本部担当の村瀬龍馬氏と、経営陣が登壇。この1年のAI活用の軌跡と、「次の一手」となる変革の⽅向性を示した。「AIの利便性は自然には周囲へ伝播しにくく、組織全体へスケールしづらかった」と振り返った村瀬氏。あえて⼿段を目的化し「全社員がAIを使うこと」自体をゴールに据えて強力に推進した背景を明かした。これにより、全社での AI利用率は99%に到達したという。現在は「AIを使えるかどうか」という習熟度を問う段階は終え、「AIを活用していかに成果を出し、価値あるものを世に送り出せるか」に集中するフェーズへと移行したとの見解を示した。

続いて、経営陣3人がそれぞれの立場から、AIによって進化する現状と「次の一手」を共有。AI活用によって、経営の意思決定での思考密度が飛躍的に向上した現状が語られた。その上で、今後は人が介在すべき領域と、AIに委ねる領域の線引きを最適化し、将来的にはAIが経営シナリオをプランニングすることを目指すことや、デザイン全工程のAI化に挑み、「MIXIの時間の流れを変える」ことなどが語られた。
最後に、「今後は、『こんなに早くやったぜ』よりも、『こんなものをいっぱい出したぜ』と世の中に見せていきたい」と語った村瀬氏。AIが空気のように当たり前となった環境で、モノづくりへの原点回帰と、世界へ多くの価値を届けていくという決意を示した。
イベントの模様は、YouTube チャンネル「MIXI TECH&DESIGN」でアーカイブ配信している。また、登壇資料(一部除く)を、資料共有サイトSpeaker Deckhttpsで公開している。
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