滋賀県は、織田信長が築城した「安土城跡」(近江八幡市)の発掘調査を10月から始めた。期間は24年1月下旬までの予定。県は「天主台周辺の本格調査は初めて」としており、わが国最初の本格天主の実像解明が期待できるという。
滋賀県によると、安土城は、織田信長が琵琶湖岸に築いた大城郭で、日本史上、初めて高層の天主を持ち、全体が高石垣で覆われた城。しかし、1582(天正10)年の「本能寺の変」後に天主を中心とした主郭部が焼失し、廃城した。城が建っていた期間が10年と短く、安土城について記した資料がほとんどないため、「幻の安土城」と言われているという。
今回調査を行うのは、天主台北半部東端315平方メートルで、現在土砂で埋まっている天主台の構造の解明や、天主の具体的な実像に迫る天主関連遺物(瓦・金具など)の発見が期待されるという。
具体的には、埋まっている土砂を取り除くことで、不等辺多角形とされる天主台の平面形状が明らかになる見込みで、天主の復元に有力な資料となるという。また、今回の調査地点は、天主が焼け落ちた方向と言われていることから、関連遺物が発見される可能性があり、県は「調査で天主の屋根を飾る鯱(しゃち)や、装飾する金具類、建具や部材など多様な遺物が発見されれば、天主の実像解明につながるかもしれない」と期待している。