日本盲導犬協会(東京都渋谷区)は、20歳~79歳の一般市民1098人を対象に2023年7月に実施した「盲導犬および視覚障害に関する意識調査」の結果をこのほどまとめ、発表した。それによると、自分が利用する店への視覚障害者の盲導犬同伴受け入れについて9割を超える91.7%が「受け入れ」を望むと回答、盲導犬同伴への理解は一般的に広がっていることが分かった。一方、店や病院など各種施設への盲導犬受け入れを施設側に義務付ける「身体障害者補助犬法(以下、補助犬法)」を「知らない」人は74.4%に上り、施設側の受け入れ拒否を許さない法律の認知度が低いことが浮き彫りになった。
補助犬法や障害者差別解消法では、公的施設や公共交通機関、ホテルやレストランなど不特定多数が利用する各種民間施設への盲導犬、介助犬、聴導犬などの「補助犬」を同伴した障害者の受け入れを施設側に義務付けている。今回の調査では、盲導犬同伴受け入れへの理解の広がりがうかがわれるものの、受け入れを推進する補助犬法の認知度は25.6%にとどまり、うち内容まで含めて認知している人は全体の5%にも満たない、わずか4.1%だった。こうした同法への低い認知度が、盲導犬を同伴して施設を利用する障害者の受け入れ拒否が後を絶たない原因の一つとみられる。
また受け入れ拒否の背景にあるとみられる、盲導犬の衛生面や行動面への誤ったイメージも浮き彫りになった。盲導犬使用者は、盲導犬の衛生・行動面を管理する「法的義務」があり、日々のブラッシングや排せつなど盲導犬の衛生・行動管理をしているが、このような使用者の「盲導犬管理義務」を知らない人は84%に上った。盲導犬使用者は排せつのリズムを把握し、盲導犬を適切な場所で排せつさせており、盲導犬が排せつ物で施設を汚すことはないが、このことを「知らない」人は68.1%を占めており、盲導犬の衛生面に関する間違ったイメージを正す必要性があることが分かった。
今回の調査結果を受けて、日本盲導犬協会は「盲導犬の受け入れには回答者の多くが賛同しており、盲導犬同伴での施設利用については一定の理解が得られている。一方で補助犬法成立から20年以上がたってもなお法律の認知や理解促進には余地があることが分かった。マスメディアによる発信など、人々の意識を高める方法で、さらに情報発信する必要がある。正しい情報を社会に広く伝えれば、盲導犬の受け入れ拒否を防ぐことができる」とコメントした。
調査は7月21日、盲導犬、視覚障害、受け入れの3点計47項目に関する認識についてインターネットで実施した。こうした網羅的な認識調査は初めてで、今後も定期的に実施する予定という。