アルファ米など長期保存食を製造・販売する尾西食品(東京都港区)は、メディア向けの特別セミナーとパネルディスカッション「関東大震災から100年 フード・ダイバーシティから考える防災と備蓄」を8月9日、東京都内で開催。このほど詳細を公表した。
第1部は、慶応大環境情報学部の大木聖子准教授が「大都市災害への備え・在宅備蓄の重要性」、日本イスラーム文化センターのクレイシ・ハールーン事務局長が「ムスリムの観点から、被災時の支援活動について」、公益財団法人かながわ国際交流財団/ネパール政府公式通訳者のジギャン・クマル・タパ氏が「来日・在日外国人の増加・地域防災の取り組みと課題」をテーマに、それぞれ講演した。
大木准教授は、関東での巨大地震は約200年周期で発生しており、特に後半の100年の間にマグニチュード7前後の大地震が頻発している、とした上で「自宅の耐震補強や家具の転倒防止などの対策が必要。また、食糧備蓄、トイレ、衛生・生活用品を十分に備えておいてほしい」と訴えた。
タパ氏は、ヒンズー教徒が多いネパール人が東日本大震災の避難所で「食べられるものがない」「何が入っているか分からない」と困っていたことからバスで東京に避難させたことを紹介し、ネパール語の防災マニュアル作成などの取り組みについて報告した。
第2部のパネルディスカッションは、第1部で講演した3人に加え、慶応大総合政策学部の野中葉准教授、一般社団法人日本フードアナリスト協会ヴィーガンフードアナリストの岩田絵弥曄氏が登壇した。
ムスリムやビーガンなど、食事への考え方が異なる人々への理解が日本では十分に浸透していない現状が紹介され、フード・ダイバーシティー(食の多様性)を進めるために、私たちは何から始めればいいのかなどについて意見交換した。野中准教授は、「食品の中にどんなものが入っているか開示し、選択の権利を与えることが重要」とし、「英語表記ができない場合は、アレルギー対応で行われているのと同様に、食品表示をピクトグラムにするとよい」と提案した。