淀川製鋼所(大阪市)はこのほど、2022年に解体された東京・銀座の建築家黒川紀章氏設計カプセル型集合住宅「中銀カプセルタワービル」のカプセル1個を取得し、移動可能なトレーラーカプセルとして再生したと発表した。
中銀カプセルタワービルは、140 個のカプセルを積み木のように積み重ねた1972年竣工の分譲マンション。黒川紀章氏らが唱えた建築理論「メタボリズム」(都市・建築も細胞の新陳代謝のように成長するという理論)を代表する建築物で、国内外で高く評価された。老朽化のため解体が決まるが、同ビルの保存・再生プロジェクト(前田達之代表)が23個のカプセルの再利用を計画した。
同保存・再生プロジェクトの活動趣旨に賛同した淀川製鋼所は、カプセル1個を取得。鈴木敏彦・工学院大建築学部教授らの協力を得て、取得したカプセルを移動可能なトレーラーカプセルに再生した。竣工当時の内装を復元する一方、積載重量の基準を満たすため、構造体の一部を間引きし、壁や天井の仕上げを省略するなどして軽量化したという。
淀川製鋼所は、このトレーラーカプセルを全国各地の外構設備関連のイベントなどで展示し、ホームオフィス家具や外構設備などの自社事業ブランド「ヨドコウプラス」の“象徴”として活用する。
中銀カプセルタワービル保存・再生プロジェクトの前田達之代表は「我々のプロジェクトでは、救出した23カプセルを黒川紀章建築都市設計事務所の協力の下で再生し、国内外の美術館や商業施設などに譲渡してカプセルの良さや歴史を知っていただきたいと考えている。カプセルを動かしたいと話していたので、今回、カプセルのトレーラー化を、淀川製鋼所さんと鈴木敏彦先生に実現していただき、とても喜んでいる」とコメントした。
トレーラーカプセルは、千葉市の幕張メッセで4月13~14日開催の「第16回エクステリア×ガーデンエキシビション(EXG)2023」をはじめ、5月には名古屋、6月は大阪で展示される。展示については同社ホームページで。