大阪公立大学大学院文学研究科の橋本博文准教授らの研究グループはこのほど、障害者などが配慮や援助が必要なことを周囲に訴える「ヘルプマーク」の普及には「未来志向を促すメッセージが鍵を握る」とする研究結果を発表した。
ヘルプマークは、義足や人工関節を使用している人や内部障害や難病の人、妊娠初期の人など、援助・配慮を必要とする人が周囲にその存在を知らせる「助け合いの印」。周囲の援助・配慮を必要とする人にとっては重要なマークにも関わらず、社会的な認知度は低いため、研究グループは、ヘルプマークの普及促進を目的に、大学生121人を対象とするアンケート調査を行い、ヘルプマークを説明するための文章として、どのような説明が理解を促すために効果的かなどを調べた。
それによると、近い将来に自分や家族がヘルプマークを身に付ける日が来るかもしれないという「当事者としての未来」に思いをはせてもらえるようなメッセージが、ヘルプマークの普及に効果的である可能性があるという。この結果を踏まえて制作したポスターでさらに大学生92 人を対象に効果測定をした調査でも、ヘルプマークに対する肯定的な理解が高まる可能性が確認できたという。
研究グループは、橋本博文准教授のほか、立教大現代心理学部心理学科の前田楓助教や久留米大文学部心理学科の佐藤剛介准教授が参加。橋本准教授は「ヘルプマークの趣旨を理解し、その活用を図るためには従来と異なる啓発アプローチも必要。今回の研究成果を足掛かりに、ヘルプマークの普及や活用を図るための一翼を担いたい」とコメントした。研究成果は国際学術誌にも掲載された(https://doi.org/10.3389/fresc.2022.967033)。