アキレス(東京都新宿区)はこのほど、住友林業(東京都千代田区)、GCJ(京都府京田辺市)と共同して、不要なったら土に還して処分できる「土壌生分解性ツリーシェルター」を開発した、と発表した。
ツリーシェルターは、ニホンジカなどの動物から植林樹木を守るため、木を覆う単木保護資材。今回開発したツリーシェルターは、植物由来原料を含む生分解性樹脂で作られていることから、土壌の微生物で分解する。役目を終えて処分する際、そのまま置いて土に還(かえ)させればよく、運搬や焼却などの面倒な処分作業は不要な上、二酸化炭素の排出量や人件費などの処分費用も抑制できる。環境にも財布にも優しい、一石二鳥の単木保護資材だという。
林業の人手不足もあり、ニホンジカなどが植林したばかりの木を食べる被害は深刻化。従来から獣害防止のため使っている「防護ネット」や「ツリーシェルター」の素材は主にポリプロピレン製が多く、設置後の回収作業や廃棄に労力とコストがかかる。そのまま森林内に放置され、ごみとなる事例も散見されるといい、獣害防止がごみの不法投棄を招く悪循環になっている。
このためアキレス、住友林業、GCJの3社は、実証実験を重ねて「土壌生分解性ツリーシェルター」を生み出した。アキレスはツリーシェルターの素材を開発し、住友林業は実験する森林と木製の支柱、GCJはシートの加工と固定器具をそれぞれ提供した。3社は「2023年3月までに商品化し、コストダウンを進め、30年度には国内で利用されるツリーシェルターのすべてが植物由来原料を含む素材となるよう取り組む」としている。