「2024年度全国選抜小学生プログラミング大会」(全国新聞社事業協議会主催)の全国大会で優秀賞の一つ「アイティフォー賞」を受賞した山口県防府市立佐波小6年、小野正輝さん(11)が4月7日、同賞の協賛企業であるIT企業のアイティフォー本社(ITFOR、東京都千代田区)に招かれ、同社の佐藤恒徳社長らに受賞作品のデジタルゲーム「植物の呼吸」の開発趣旨などを説明した。
このゲームは、酸素を吸って二酸化炭素を出す「人間」と、二酸化炭素を吸収して酸素を排出する「植物」が対戦するゲーム。引き分けになると、人間と植物が共存する理想世界にゴールできる内容。一方、対戦の結果、人間がゲームに勝つと「地球温暖化」、植物が勝つと「地球寒冷化」の世界が現れる。人間と植物が共存して調和する「引き分け」の価値を勝ち負けより重視している点がゲーム設計上の特徴だ。ゲーム参加者は、スマホなどのゲーム端末に息を吹きかけて、二酸化炭素が増減する地球の未来を巡る攻撃防御の操作をする。この操作は、ゲーム参加者の息を吹きかける呼吸(呼吸音)に反応してゲームキャラクター「人間や植物」が動く音声認識技術を活用したという。
小野さんは、アイティフォーの佐藤社長や新入社員40人らにゲーム画面を大型画面に示しながら、ゲーム開発の理由やゲームの仕組みなどを説明した。「人間と植物が共存できるのが一番良い(未来)と思い、(ゲームの最上の結果を)引き分けに設定した」と話した。小野さんは男性社員2人とゲームの対戦も楽しんだ。
質疑応答では、社員から「勝ち負けでなく引き分けをゲームの最上の結果とした発想は大人ではなかなかできない、素晴らしい考えだ」「ゲームの攻撃防御の操作手段に呼吸を取り入れる発想が斬新」など小野さんの発想の豊かさをたたえる声が上がった。

また小野さんは受賞への感謝の意を込めて、得意のピアノ演奏を披露。ショパンの「幻想即興曲」、坂本龍一の「戦場のメリークリスマス」など3曲を演奏し、社員から大きな拍手を受けた。
小野さんは「ものを作ることが好きなので、将来は世の中のためになるものを作るエンジニアになりたい」と話した。

本社訪問に同行した小野さんの父親、小野将さん(42)は「工作が好きで、いろいろなものを作ってきた。ピアノも好きで幼稚園児のころから家にある電子ピアノに触れていた。曲を1回で聞いただけで演奏できることもある。これからもいろんなことに挑戦して、得意なこと、やりたいことをみつけてほしい。親としては本人の挑戦と成長を応援していきたい」と話した。

社員を前にあいさつしたアイティフォーの佐藤社長は「小野さんの発想は、皆さんの仕事の刺激にもなると思う。ピアノの演奏も素晴らしかった。これからも小野さんの成長が楽しみです」などと述べた。
全国選抜小学生プログラミング大会は小学生が自らプログラミングして制作したアプリやゲームなどの作品を披露する催し。今年は3月2日に東京都内で2024年度の全国大会が開かれた。全国大会には1284組の応募者の中から、都道府県大会を勝ち抜いた47組が出場。最優秀のグランプリ(文部科学大臣賞)をはじめ、協賛企業賞などの各賞受賞作品を選出した。山口県代表の小野さんは初出場で「アイティフォー賞」に輝いた。