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おせち料理  藤野嘉子 料理研究家  連載「口福の源」

 忙しい毎日を送っている私たちですが、お正月は、やはり特別ではないでしょうか。 おせち料理とは、年神様へ餅や野菜をお供えして元日の朝に汲(く)んだ「若水」と、窯に初火をともして作る料理です。五穀豊穣、子孫繁栄などの意味が込められます。神聖な気持ちになります。冷凍のお重が元旦に届くことも、珍しくありません。時の流れなのでしょうか。

 私が子どもの頃は、洋服、下着、靴、すべてが新しくなるお正月は、何より楽しく待ち遠しかったです。31日の夜、歌合戦のテレビを見ながら、母が重箱に料理を詰める。なんとも懐かしく、温かい時間でした。

 そんな経験が私を料理の道に運び、今でも人様のお祝いのおせち料理を作るのが生業(なりわい)になっています。 

 お祝いの料理は、むかしのように全部そろっていなくても、家族が好きな料理を一つでも作れば、それでよいと思っています。そして毎年、一品ずつ覚えた料理が増えてゆき、年を重ねるごとに食の財産となるのではないでしょうか。

 今年はまず「田作り」を作りましょう。お正月に欠かせない祝い肴(ざかな)です。

 イワシを田んぼにまいて田を肥やしたおかげで豊作となった、という言い伝えがあり五穀豊穣を意味します。

 祝い肴は他に、子孫繁栄の「数の子」、まめに働くことができるようにと「黒豆」。語呂合わせではないですが、意味を知ると楽しいですね。 

 田作りは、渋い見た目ですが、意外にもお子さんにも好評です。市販品とは別物の豊かさです。簡単に作れ、お酒のあてにも良いものです。

くるみごまめ

<材料>
・ごまめ*50g
・ローストの無味くるみ50g
・しょうゆ、砂糖 各大さじ3
・ハチミツ 大さじ1
・酒 小さじ1

<作り方>
①耐熱皿にクッキングペーパーを敷いて、ごまめを入れて、電子レンジにかけます。600ワットで3分〜3分30秒かけ、途中で1度混ぜてから、広げて冷まし背曲がりやちぎれたものを外しておきます。
②くるみは大きいものは小さく割っておきます。
③フライパンに砂糖、しょうゆ、ハチミツを入れ、中火にかけます。ぶつぶつと泡が出てきたら、ごまめとくるみを加え、手早く混ぜ焦がさないように絡めます。くるみとごまめにたれが絡まればよいので加熱時間は2〜3分ほどです。
④鍋肌に酒を振り入れ混ぜ、バットに取り出して広げて冷まします。
*ごまめは乾物コーナーにあり、田作りと書かれていることもあります。

【KyodoWeekly(株式会社共同通信社発行)No. 1からの転載】


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