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棋王戦特別協賛社コナミグループの東尾公彦社長(左)から副賞を贈られた藤井聡太七冠=東京都港区のホテルオークラ東京、2024年7月2日

藤井七冠の棋王初防衛祝う 就位式にファン110人

 藤井聡太七冠(21)の第49期棋王就位式(共同通信社、日本将棋連盟主催)が7月2日、東京都内のホテルで開かれ、将棋ファン110人を含む関係者約250人が、藤井七冠の棋王初防衛を祝福した。

 藤井七冠は「第1局が持将棋(じしょうぎ=引き分け)になったり、いままでと違った指し方を試してみたりとさまざまな経験ができた」と戦いを振り返り「今期の経験を生かして来期に向け今後も精進していきたい」と棋王3連覇に意欲を示した。

 また第1、2局の開催地となった能登地震被災地の富山県、石川県の現状に触れ「地震から半年たったが大変な思いをされている方がまだまだいると思う。1日も早い復興を願っている」と話した。

 第49期棋王戦コナミグループ杯5番勝負は富山県魚津市で2月4日開幕。第1局が持将棋となる珍しい幕開けとなったが、藤井七冠は第2局から3連勝し、幼年期からのライバルである同い年の伊藤匠七段(21)の挑戦を3月に退けた。

 一方、第9期叡王戦5番勝負では逆に同じ伊藤匠七段に2勝3敗で敗れ、保持していた八冠のうち、叡王タイトルを6月、失った。

祝辞を述べるコナミグループの東尾公彦社長(左)
 

 関係者の祝辞では、この2人の「同年対決」で注目される将棋界をさらに盛り上げる藤井七冠の今後の活躍に期待を寄せる声が相次いだ。

 棋王戦特別協賛社、コナミグループの東尾公彦社長は「将棋界は若い棋士の活躍が目立っている。どの勝負の世界でも、若い世代が活躍すると、その世界は活性化し、盛り上がり、レベルが上がる。将棋界は藤井棋王が先頭に立って盛り上げてくれると思う。コナミグループは引き続き棋王戦の特別協賛を続けるとともに、新たにジュニアの棋士の支援もしていきたい」と述べた。

あいさつする北日本新聞社の蒲地誠社長(左)
 

 棋王戦第1局を主催した北日本新聞社の蒲地誠社長は「藤井棋王と伊藤匠七段から能登地震の被災者に温かいお見舞いの言葉をいただき、被災者は大いに励まされた」と感謝した上で、「持将棋となった第1局を本紙記者は『将棋ファンをうならせる対局だった』とした。これからも将棋ファンを驚かせる鮮やかな将棋で早く八冠に返り咲いてほしい」と話した。

同年対決の棋王戦を振り返った日本将棋連盟の羽生善治会長(左)
 

 日本将棋連盟の羽生善治会長は「藤井棋王と伊藤匠七段は同い年、同学年で子どものころからしのぎを削ってきた。今回あまり例がない持将棋が成立して話題となったが、これは伊藤匠七段が事前に研究してこの展開に持ち込もうとしたと思われ、将棋の技術の進歩を感じた一局であり、また2人のこれからの長い長い戦いの始まりを予感させる一局でもあった」と指摘し、“藤井、伊藤時代”の到来を予想した。

能登地震被災地での開催を実現した関係者に感謝する共同通信社の三土正司社長(左)
 

 棋王戦を主催する共同通信社の三土正司社長は「日本将棋連盟は今年9月、創立100周年を迎える。この間、将棋ファンの記憶に残る多くの名物棋士が名勝負を繰り広げてきたが、能登地震2カ月余り後の被災地で開催することができた今回の第49期棋王戦コナミグループ杯も多くの皆さまの記憶に残るのではないか」と述べ、「被災者を励ましたい」と開催に前向きだった藤井棋王と伊藤匠七段ら関係者の熱意と努力に感謝した。

藤井聡太七冠にお祝いの花束を手渡す瀬戸朝香さん(左)
 

 会場には藤井七冠と同じ愛知県瀬戸市出身の女優、瀬戸朝香さんもお祝いに駆け付け、藤井七冠に花束を贈呈。「小さい子どもからお年寄りまで瀬戸市民の多くが、藤井棋王を応援し、活躍を喜んでいる」と語った。

会場に入場した藤井聡太七冠の写真をスマートフォンで撮影する藤井ファンの女性たち
 

 会場では藤井棋王と、師匠の杉本昌隆八段や瀬戸朝香さん、将棋の室田伊緒二段とのトークショーや、藤井七冠が書いた色紙などが当たる抽選会も行われ、会場に集まった藤井ファンを喜ばせた。


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