肌トラブルは、女性にとっていつの時代も悩みの一つだ。それががん治療中とあれば、より心に影を落としかねない。今や2人に1人が経験するというがんの治療中にも肌トラブルや外見の変化は生じやすいという。そうした悩みを抱える患者に寄り添い、QOL向上をめざすため、第一三共ヘルスケア(東京)は、2月1日に都内で、「第11回 肌ケアセミナー in 東京」を開催した。
今回のセミナーは、「AYA世代」と呼ばれる人生の大きな転換期にあたる思春期・若年成人世代に向けて開催されたもの。専門家による講義と実践を通じて、がんと闘う女性たちが治療期から日常生活に取り入れやすい肌ケア方法を紹介する。この日のセミナーにはがんと闘いながら仕事をする40歳以下の女性たちが参加した。
セミナーでは、まず第一三共ヘルスケアの看護師・東島愛美さんが、抗がん剤治療中から取り入れたいスキンケアについて講義。皮膚の構造といった基本的な知識を伝えたあと、肌チェックの方法や肌ケアについて解説した。抗がん剤治療中は乾燥肌になりやすいことから、「保清」「保湿」「保護」の3つのステップで行うのが良いという。入浴時などに皮膚のチェックを行い、トラブルが起こっていないかよく確認することが大切だ。爪の周りに炎症が起きていないか。手足症候群が起きていないかを、日々の生活の中で確認していく。特に足の爪は見逃しがちなので気を付けたい。

さらに、洗浄剤や肌を保護するための日焼け止めは弱酸性の低刺激のものを選ぶといった基本的なケア方法から、軟こうを塗っている肌の洗浄方法、入浴時のお湯の温度はぬるめを保つなど、具体的な内容が語られた。
保湿ケアは、毎日続けることで効果を発揮する。そのため、毎日使えるものを選ぶことがポイントとなる。東島さんのおすすめは乳液タイプのもの。全身を潤わせるためには、毎日40グラムほどの保湿剤が必要となるそうだ。具体的な数字や成分名を挙げて説明がなされた講義は、非常に実用的な内容となっていた。
続いて、アピアランス・サポート東京のアピアランス・サポート相談室室長の村橋紀有子さんが登壇。美容師でエステティシャンでもある村橋さんは、アピアランスケアの専門家でもある。アピアランスケアとは、治療の副作用などで外見変化がある中でもQOLを保てるように行うもので、村橋さんは、脱毛や爪の変化を美容師などと協力してケアしている。また、治療前、治療中、治療後の悩みや不安に対する情報提供やレクチャーも行っており、医師には相談しにくい外見的な部分で心強い存在になっていることだろう。この日の講義では、静脈とリンパの流れを正常に促すための「巡活マッサージ」をレクチャーした。参加者たちは、村橋さんの説明を聞きながら実践し、その方法を学んだ。

リンパマッサージは、最初にネイルや手のケアから始まる。手の皮膚をやわらかくし、爪の引っ掛かりがないかを入念に確認。肌を傷つけないことが第一だという。マッサージを行う上で大切なポイントは、耳の穴の前にある小さな突起部分の「耳珠(じじゅ)」、耳たぶの付け根の下「耳垂(じすい)」、そしてエラの角から1センチ前側の「マンディブラーノッチ」の3つ。そこに向かい、人差し指から薬指の3本の指を使って血流を流していく。額から「耳珠」へ、眉上から「耳珠」へとマッサージのレクチャーが続く中、「腕を上げるのがつらい人は、テーブルに肘をついて行ったら楽ですよ」など、治療中の人にとって実践的なアドバイスも多く、うなずきながら実践する参加者の姿も見られた。
最後に、一般社団法人ピアリング アピアランスケアアドバイザーの野村奈美さんによるカバーメイクミニ講座が行われた。野村さんは、自身の乳がん経験を通して、治療中に気になる肌荒れ、乾燥、赤味、くすみ、クマ、シミといった肌トラブルに対処するためのメイク方法を紹介している。
今回は、「治療中も元気に見えるベースメイクの作り方」をモデルを使って実践した。「赤味が気になる人はグリーン系のカラーを気になるところにだけ薄く使う」「目の周りをハイトーンのコンシーラーを使って明るくすることで、目の周りのくすみをカバーできる」「カバー力の強いコンシーラーを使うときは薄い膜を何回も重ねるように塗る」など、具体的で細かいメイク法が伝授され、メモを取りながら真剣に耳を傾ける参加者が多く見られた。

野村さんからは、「新しい薬を使うときは、どんな副作用が出るのかを前もって聞いたり、調べたりして覚えておくことです。そうすることで、もし、副作用が出たときにすぐに対処できます。自分たちの“患者力”も上げていかなければいけない」と経験からくるアドバイスもあった。
がん治療中の女性はもちろん、一般女性にとっても有益な情報にあふれたセミナーとなった。

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