今年の政局で一つの焦点になりそうなのが、約30年ぶりに新しい選挙制度が実現するかどうかだ。有力なのは「中選挙区連記制」だ。戦後ずっと続いてきた「中選挙区制」に戻るのか? いや「連記制」にポイントがある。
1994年まで50年近く続いた中選挙区制は、定数が原則3〜5で、投票する候補者は1人だけの「単記制」だった。2人も3人も投票できる連記制になったら、選挙は一段と面白くなるかもしれない。
自分の支持する候補者以外も投票できるなら、別の政党の候補者も書いてみたいし、せっかく多党化の時代だから、連立の組み合わせを仕掛けてもいい。
昨年末に閉幕した臨時国会では、審議入りしなかった「定数削減法案」をめぐる混乱の一方で、与野党の各会派の約200人の議員が参加する「衆院選挙制度改革を目指す超党派議員連盟(議連)」が、12月5日に総会を開いた。
自民党の古川禎久氏(共同代表)と立憲民主党の階猛氏(同)らは個人提案、国民民主党は党の決定として「中選挙区連記制」を提案し、「穏健な多党制による政権交代を可能にする」と説明した。公明党やれいわ新選組、共産党は比例代表制などを示した。
議連の福島伸享幹事長は、「大まかに言って(各党会派の提案は)中選挙区連記制、都道府県比例代表制、ブロック別比例代表制の三つに分けられます。自民も日本維新の会も中選挙区連記制を議論していると表明があった」として、今春にも合意できるとの見通しを示した。
もちろん、簡単ではない。12月17日に開かれた衆院議長の下に設置された選挙制度の在り方を検討する与野党協議会では、自民党の委員は「党員の6割が現行制度の積極的な変更を求めなかった」とし、立憲の委員も具体的な提案をしなかった。
選挙制度改革に積極的な議員が集まる「議員連盟」と、自分たちが当選した選挙の仕組みにこだわりがちな議員には、改革の「熱量」の差がある。
ただ、今回は「改革熱量が低い」と言われる自民や立憲民主にも、改革推進論者が少なからず存在する。石破茂前首相も中選挙区連記制に賛同する。
実は、日本の選挙制度は、これまで「連記制」を2回経験した。終戦直後の1946年には「大選挙区制限連記制」を導入。定数2〜14の選挙区のうち、「定数10以下は2人、11以上は3人連記」とした。選挙権が「25歳以上の男子」から「20歳以上の男女」に大幅に拡大された初めての選挙で、女性が一気に39人(定数466)も当選した。
今回は、高市早苗政権の支持率が高いため、2026年度予算案が成立する春以降は衆院解散の可能性も出てくる。現状の小選挙区比例代表並立制を前提に選挙準備が動き出しているが、中選挙区連記制をめぐる議論も1〜3月にピークを迎えそうだ。
(ジャーナリスト・菅沼栄一郎)
【KyodoWeekly(株式会社共同通信社発行)No.2からの転載】
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