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がん患者に帽子贈る活動などを応援 大同生命厚生事業団が147件の活動・研究に助成

 

あいさつする大同生命厚生事業団の藤田広行理事長

 

 社会課題の解決に寄与する活動・研究に対して助成金を毎年贈呈している大同生命厚生事業団(大阪市)はこのほど、2025年度に助成する147件の活動・研究を決めた。助成金の総額は2200万円。

 関東地区では、抗がん剤の副作用で脱毛したがん患者に綿100%の清潔なタオルで作った帽子を贈る活動や幼少期に虐待された少年の健全育成を地域で支える取り組みの研究など計32件が助成対象に選ばれ、東京都内のホテルで9月29日開かれた「助成金贈呈式」には、助成金を贈られる団体の代表や研究者ら32人が出席した。

 

助成金を贈られる団体の代表ら=2025年9月29日、東京都港区のホテルアジュール竹芝

 

 32人の一人一人に贈呈状を手渡した大同生命厚生事業団の藤田広行理事長は「大同生命の創業者の一人、広岡浅子(1849-1919年)は生命保険事業で人々の生活の安定と社会への貢献を目指した。世の中の役に立つことを行うというこの広岡浅子の思いを大同生命厚生事業団は継承している。日本は超高齢社会を迎え、医療介護をはじめ障害者と健常者の共生や子どもの貧困・虐待など多くの課題を抱えており、課題解決に取り組む保健・医療・福祉に関するボランティア活動が重要になっている。事業団はこれらの活動を従来以上に積極的に支援し、豊かで明るい社会づくりに貢献したい」とあいさつした。

 助成金10万円を贈呈された千葉市生涯学習ボランティアの会(千葉市)は2011年3月の設立以来、抗がん剤の副作用で脱毛したがん患者に「タオル帽子」を贈る取り組みを続けている。メンバーは50~80代の女性27人で平均年齢は75歳。代表の町田順子さんは「おばあちゃんの会です」と説明する。

 

がん患者に贈る帽子を持つ千葉市生涯学習ボランティアの会の町田順子代表

 

 月1回、千葉市内の稲毛保健福祉センターに集まり、肌触りの良い綿100%のフェイスタオルから頭をすっぽり覆うことのできる“タオル帽子”を作っている。贈呈先は千葉県がんセンターや千葉医療センター、船橋市立医療センターなどで、これまでに1万4000個以上のタオル帽子をがん患者に届けている。

 町田さんは「帽子を届けると非常に喜ばれます。患者さんの喜ぶ姿を知ると私たちもうれしくなります。最近はタオルの値段が上がっているのでタオルの確保が課題になっています。月1回集まって帽子を作ることをメンバーは楽しみにしていますので、タオルの寄付を広く募って頑張っていきたい」と話した。

贈呈状を受け取る東京都小平児童相談所・児童福祉司の大原天青さん

 

 児童自立支援施設入所少年の健全育成に対する地域支援の研究で助成金30万円を贈られたのは東京都小平児童相談所・児童福祉司の大原天青さん。

大原さんは「虐待をはじめとした幼少期の逆境的な体験は子どもの生命やその後の人生に多くの影響を与える。研究は、過去の逆境的な体験から回復しようとする少年たちを地域の中で支援していく取り組み(宿泊型の生活体験プログラムなど)を進め、その効果を明らかにしようとするものです。社会の中で光が当たりにくい分野ですが、今回の助成は大きな励みになります。研究と実践の質を高め、子どもたちの健全育成に貢献していきたい」と述べた。

 助成金制度は大同生命厚生事業団発足の1974年度から毎年度実施。助成金額は1件原則10万~30万円(優秀な研究の場合は最大50万円)。今回の25年度を含めた累計助成金額は17億8957万円、累計助成件数は4975件に上る。25年度に助成する147件は同事業団ホームページに掲載している。

 


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