南オーストラリア(SA)州で9月1日から、テイクアウトのすし店でよく使用される魚型のしょうゆ容器が全面禁止となった。使い捨てプラスチック削減措置の一環で、州政府による禁止はオーストラリア国内で初めて。ニューサウスウェールズ(NSW)州とタスマニア(TAS)州も禁止を検討しているが、州ごとに足並みはそろっておらず、国内で異なる規制は食品卸や飲食店などに大きな影響を与える見通しだ。
新規制では、ふた・キャップ・栓付きで、しょうゆの容量が30ミリリットル未満の容器が禁止対象となる。プラスチックの小袋タイプは引き続き許可される。SA州政府はすし店に対し、代わりに大容量のボトルやディスペンサーの使用を求めている。
同州のクローズ環境相は、「魚型の容器は、落としやすく、風に飛ばされやすく、排水溝に流されやすく、ビーチや街路のごみとして頻繁に見られる。リサイクル選別機械で捕捉できないほど小さいため、埋立地に送られるか、環境中に浮遊するプラスチックとして残留することが多い」と指摘した。
オーストラリアでは、すしやテイクアウトの文化が広く浸透する中で同容器も多く使用されている。
■各州で異なる対応
ナインニュースによると、NSW州は、魚型容器などプラスチック製のソース容器を2030年までにリサイクル可能とするよう義務付ける提案を検討している。向こう数カ月で方針を発表するとみられる。
TAS州も段階的廃止を検討中だが、新法の草案作成はまだ行っていない。一方同州ホバートでは、独自の条例により、魚型容器などテイクアウト食品向け使い捨てプラスチック包装の使用が既に禁止されている。
SA州のテイクアウト用すし店は公共放送ABCに対し、「禁止について事前に通知があったため、サプライヤーと協力して代替品を手配している。在庫が切れたら、ガラス瓶のディスペンサーを使用する」とした。
(オセアニア農業専門誌ウェルス(Wealth) 9月5日号掲載)
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