総合人材サービスを手がけるNISSOホールディングス(清水竜一社長、東証プライム市場9332)はこのほど、同業のツナググループ・ホールディングス(米田光宏社長、東証スタンダード市場6551)と資本業務提携を結んだ。
NISSOが半導体、電気自動車(EV)向け蓄電池などの製造業への人材サービスに強みを持つ一方、ツナググループは飲食店、宿泊業、小売業といったサービス業向けを得意とする。両社のそれぞれの顧客基盤を生かし協業しながら、顕在化する人材不足に対応し、収益増につなげる狙い。
NISSOは、ツナググループ株式の18.14%を14億6300万円で取得。併せてツナググループに取締役を派遣する一方、NISSO子会社の日総工産が、ツナググループから非常勤取締役を迎えることで合意し、ツナググループはNISSOの持ち分法適用会社となる予定。
NISSOの清水社長は「少子高齢化に伴う労働生産人口の減少に加え、産業界のテクノロジーの進化によって、求められる人材の質が大きく変化しつつある」と、労働市場の現状を分析。その上で「(就労者の)量の人材確保とともに、今後ますます人材流動化が進むと予測されており、ツナググループとの提携により、2社が持つ強みを融合させ、応えていきたい」と強調した。
▼「需給ギャップ」の状態続く
ツナグ働き方研究所の調査によると、人材派遣、請負サービス、短期雇用支援など人材業界全体の市場規模は約10兆円と試算している。ただ、労働市場では、少子高齢化による労働生産人口の減少に伴い、特に医療介護、製造、サービス業の分野で、企業側の求めている人材が採用しづらいという「需給ギャップ」の状態が続き、大きな課題となっている。また、別の調査によると、2030年の産業別の労働需給ギャップは、サービス業で400万人と推定されるという。
このため、NISSOとツナググループは双方の強みを生かし、人材紹介の案件などで協業するとともに、両社の営業態勢の協力関係構築を目指す。
NISSOの清水社長は今後の取り組みについて「ツナググループさんは採用のコンサルティング事業などを得意とされており、両社で企業側の人事・採用支援サービスをすぐにでも展開できるのではないか」と指摘するとともに「ツナググループさんが得意としているグローバル人材の採用分野でも、NISSOの育成・マネジメントの仕組みとのシナジーを追求し、グローバル人材の活躍支援につなげたい」と話し、今後、増加が見込まれる外国人労働者の人材確保にも意欲を示した。