ペットは飼い主に似る、と言われるが、老化もまたしかり。日本では飼い主もペットも共に高齢化が進んでいる。両者が一緒に健康で年を重ねる「ヘルシーエイジング」の時代に入っている。
10月8日に東京・品川駅前のオフィスビルで開かれた記者向けセミナー。“ペットのヘルシーエイジング”を提唱する仏ペットフード大手ロイヤルカナンの日本法人ロイヤルカナン ジャポン合同会社(東京都港区)の獣医師・平瑛美さんは、犬猫の高齢化の現状を説明し、犬猫の健康維持における高齢になる手前の時期の重要性をこう強調した。
「現在猫は16歳、犬は14.8 歳が平均寿命ですが、年々延伸傾向にあります。国内にはペットとして猫885万頭、犬682万頭がいますが、それぞれおよそ7歳以上が半数を占めています。猫は7歳、犬(小型犬)は8~11歳を“中齢期”と言います。例えば、猫の7歳は人間の42歳ぐらい。人間でいうと中年に当たる中齢期以降の犬猫は、食生活や定期的な運動に気を付けなければならない時期に入ります」
一方、この中齢期は、毛並みや体形などの“外形”は、1~3歳時と比べてもまだあまり変化がないので、注意が必要という。平さんは「外形の変化は乏しくても内側ではゆっくりと確実に変化が生じている」と指摘。こうした加齢とともに進む内側の変化の“兆候”は、犬猫のちょっとした行動の変化に表れるとして、日ごろの行動観察の大切さを強調した。
このような内側の変化を示す猫の行動例として、平さんは、高い所にジャンプしなくなった▽階段の上り下りが遅くなった▽おもちゃで遊ばなくなる▽グルーミングしづらくなる▽トイレでの踏ん張りがきかなくなる―などを挙げた。
その上で「こうした“サイン”を見つけた場合、例えば猫が高い所にジャンプしなくなった場合には、猫が関節炎になっている可能性もあるので放置せず、病院で痛み止めなどの適切な治療を受けさせたり、食事療法をしたりすれば、中齢期以降の健康維持につながります。また家の中に段差のある移動コースを設けて猫にジャンプを日ごろから促せば、中齢期以降の筋力・健康維持に役立つかもしれません」などと話し、行動変化に対する早期対応が高齢期での猫の健康維持に役立つ可能性に言及した。

さらに平さんが力点を置いたのは、犬猫の健康診断の勧め。特に受診を勧めたのは猫。猫は犬に比べて健康診断の受診率が低いという。「健康診断の受診率は、犬が55%、猫が40%。猫は犬ほど健康診断に行っていません。獣医師としては、中齢期前でも健康診断を受けてほしいですが、特に中齢期以降の猫は年2回受診することが理想的です」と述べた。
この猫の受診率が犬より低い背景には「(犬に比べて)猫は動物病院に連れていくのが大変」というペットオーナーの声があるという。平さんは「時折、キャリーバッグ内で好物を食べさせるなど、普段からキャリーバッグに慣れさせることが大切です」と述べ、動物病院に連れていく際の猫にかかる“ストレス”への理解の必要性を訴えた。
例えば、動物病院に連れていった猫が「ギャー」と騒ぐ時は、猫の小さな「ストレスのバケツ」があふれている状態という。平さんは、動物病院での定期健診(注射・採血)に至るまでの通院過程で起きるさまざまな事、例えば、キャリーバッグに入る、移動中の揺れ、待合室で犬がほえるなどの各場面で、猫にはストレスが少しずつ積み重なっているので、それぞれの場面で猫にかかるストレスを最小化して検診時に“ストレスのバケツ”があふれないよう、「通院時に想定される各場面に慣れさせる日ごろの対応や、移動時は日ごろ使っているタオルをかぶせて落ち着かせるなどの工夫が必要」と語った。
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