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インボイス制度、中小企業の約9割が「対応できている」  制度導入による課題は「業務負荷の増加」

 大同生命保険(大阪市)は全国の中小企業経営者を対象に、景況感に加えさまざまなテーマを設定したアンケート調査「大同生命サーベイ」を2015年10月から毎月実施している。2024年1月度調査の主要テーマには、「中小企業のインボイス制度への対応」を設定。インボイス制度への企業の対応状況や、導入に当たっての課題などを調査した。全国の7581社の中小企業経営者を対象とし、1月5日~31日に訪問またはZoom面談で調査を行った。

 2023年10月に導入された消費税のインボイス制度には、88%の企業が「対応できている」と回答。「対応できていない」「対応する必要がない」がともに5%だった。インボイス制度導入による課題(複数回答)として最も多かったのは、「業務負担の増加」(51%)。以下、「特に課題はない」(32%)、「経営者や担当者の理解・連携不足」「仕入先への対応要請」(19%)、「販売先への対応要請」「請求書受領時のミス」(12%)だった。

 インボイス発行事業者として未登録の取引先に対する対応は、「登録を依頼する」(27%)、「検討中」(25%)、「登録を依頼しない」(23%)と続いた。インボイス制度に対応できていない企業の課題は、「業務負担の増加」(59%)、「経営者自身や経理担当者の理解・連携不足」(39%)などだった。

 経営者からは「下請けの会社にインボイス制度の説明会を実施したが、なかなか理解してもらえず手間が多い。もっと整備してから施行してほしかった」(建設業/北海道)、「事務作業が増加して大変。まだ完全に理解できていない部分もあるため、今後が不安」(小売業/北関東)、「中小企業を守るための制度だとは理解しているが、多くの企業で業務負担が増えている」(その他/北関東)、「高齢者などパソコンに不慣れな世代の人が、インボイス登録の手続きが面倒なので廃業したという話を聞いた。こういう方々をサポートする体制をもっと強化すべき」(製造業/北関東)などの声が寄せられた。

 

 今年1月から「電子取引の電子データの保存」が義務化されたことについては、「内容を知っている」と回答した企業が65%、「義務化されたことを知っているが、内容は知らない」が29%、「義務化されたことを知らなかった」が6%だった。「電子取引の電子データの保存」に対して、「すべて対応できている」(16%)と「概ね対応できている」(54%)を合わせ、70%の企業が「対応できている」と回答した。「まったく対応できていない」は14%で、「対応する予定がない」が6%だった。

 電子帳簿保存法に対応しない場合の罰則(青色申告の承認取り消し、推計課税・追徴課税、会社法による過料など)については、「罰則があることを知らなかった」(33%)が「内容を知っている」(27%)を上回った。電子取引の電子データの保存の義務化を知っている企業でも、「罰則があることを知らなかった」(22%)ケースが一定程度見られた。

 経営者たちからは、「経営資源に余裕がない中小企業では対応が厳しく、今は負担感しかない。国や自治体がもっと丁寧にフォローしながら進めないと、業務軽減やDX推進にはつながらないのではないか」(製造業/北関東)、「シニア世代の従業員が多いため、電子データ保存になじめず、紙でも保管しているため業務が増えた」(生活関連サービス業、娯楽業/南関東)などの課題を指摘する声も。一方で、「電子データ保存により紙の保管スペースが不要となり、整理できて良かった」(医療・福祉業/南関東)、「今は過渡期で、紙と電子データが混在しているため分かりにくいが、将来的に電子データへ完全移行すれば今より仕事がやりやすくなる」(情報通信業/関西)と前向きに評価する声もあった。


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