【コラム】「王朝」の威厳示したペイトリオッツ、やはりスーパーなSB

2月3日(日本時間同4日)にアトランタで行われた米プロフットボールNFLの第53回スーパーボウル(SB)は、ペイトリオッツが勝って2年ぶりの王座に就いた。大方の予想を覆すロースコアの試合を13-3(SB史上最少スコア)で制したペイトリオッツは、スティーラーズに並ぶ最多6度目の優勝となった。

この6度はすべてベリチック監督とQBブレイディ選手のコンビによるもの。2001年度シーズン途中に正QBのチャンスをつかんだブレイディ選手は快進撃でペイトリオッツをSB初制覇に導くと、今季までの18シーズンで9度も王座を決める舞台に進んだ。02年の後、04年、05年、15年、17年、今回と頂点を極めた。24歳だった若きQBは41歳の円熟した司令塔となり、彼を信じて試合を任せ続けたベリチック監督は66歳となってまた美酒に酔いしれた。「ペイトリオッツ王朝」がその威厳を示したわけだ。会場のファンの支持も圧倒的だった。

敗れたラムズは、対照的に発展途上の若いチーム。天才とも評されるマクベイ監督はSB史上最年少の33歳で、QBゴフ選手も3年目の24歳。ちょうど17年前、SBで両チームが初対戦した時は、24歳のブレイディ選手が当時最強を誇ったラムズを相手に番狂わせを演じた。今回は全く裏返しの状況で世代交代も期待されたが、マクベイ監督に大向こうをうならせる策はなく、ゴフ選手も勝負どころでパスをインターセプトされるなど若さが出てしまった。

SBは言わずと知れた米国の国民的行事。当日は「スーパーサンデー」と呼ばれ、全米がお祭り騒ぎに包まれる。1987年の第21回大会を取材したことがあるが、その時の会場はロサンゼルス郊外のローズボウル・スタジアム。フットボールの聖地には10万1063人もの観衆が詰めかけ、試合前から大いに盛り上がった。私も夢のような場所に来て興奮した。プレスホテルからはバスで移動、広々とした駐車場をメディア用の大型バスが埋め尽くした壮観が強く印象に残っている。

最高視聴率49・7%を誇るSBはテレビのコンテンツとしても超一流だ。30秒スポットのCMが平均コストで500万ドル(約5億5000万円)を超える。米サイトのスポ―ティングニュースによると、1967年の第1回大会は4万2000ドルだったのが、私の取材した87年には57万5000ドルとなり、95年の第29回大会で100万ドルを超えた。その後は一気に高騰して2016年の第50回大会は480万ドルとなり、17年から500万ドルを超えた。

SBのCMこそ、トップ企業の証しだろう。注目を浴びる分だけ内容も問われ、大会が終わるとネット動画には必ずベスト&ワースト・テンが発表される。下手なものを作るとせっかくの大金がふいになり、企業イメージのダウンにもつながりかねないのだ。ことしは玄人好みの「守備的ゲーム」となったことからテレビ視聴率は伸び悩んだそうだが、それでも全米で約1億人が観戦したという。SBはやはり「スーパー」なイベントだ。

【筆者略歴】

後藤英文(ごとう・ひでふみ) スポーツジャーナリスト。共同通信では初代スポーツ専門特派員としてニューヨークで勤務。MLBワールドシリーズやW杯サッカー、NFLスーパーボウルのほか夏冬の五輪などを取材。元びわこ成蹊スポーツ大学教授。

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