Subject: Horizontal view of a teenage girl in a stretching figure skating pose on an outdoor winter pond, with the bright afternoon sun shining behind her, making her figure cast a long shadow as she glides on one foot on the smooth ice.

【コラム】紀平選手が快挙、飛び出した世界的ジャンパー

 フィギュアスケートのグランプリ(GP)ファイナル女子で紀平梨花選手(関大KFSC)が見事に初優勝を遂げた。しかも今年の平昌五輪金メダリスト、アリーナ・ザギトワ選手(ロシア)を破っての価値ある金メダル。ショートプログラム(SP)、フリーともに1位となる完勝だった。

 美しいトリプルアクセル(3回転半ジャンプ=3A)がその切り札。伊藤みどりさん、浅田真央さんの流れを受け継ぐ、世界的なジャンパーが飛び出した。

 紀平選手が初めて3Aを成功させたのは2シーズン前の2016年9月。ジュニアGPスロベニア大会だった。14歳で、女子では世界で7人目の快挙だった。さらに昨年12月のジュニアGPファイナルでは女子初となる3A-3回転トーループの連続ジャンプを成功させた。

 シーズンごとに進化していく紀平選手。ジュニアからシニアに戦いの場を移した今季はさらにその才能が花開いた。デビュー戦のネペラ杯でフリー2本の3Aに成功(浅田真央さん以来2人目)、GPシリーズは初挑戦のNHK杯とフランス杯で連勝し、ファイナルでも優勝を果たした。浅田真央さん以来となる、GPデビューシーズンのファイナル制覇。ミスのなかったSPでは82.51点の世界最高得点をたたき出した。

 ザギトワ選手とは同じ16歳だが、フィギュアスケートの“学年”では一つ下になる。02年5月18日生まれのザギトワ選手に対して、紀平選手は02年7月21日生まれ。「五輪、世界選手権出場は前年の7月1日の前日までに15歳に達していること」という年齢制限があるため、昨年7月1日の時点で15歳になっていたザギトワ選手は五輪出場が可能となり、先輩のエフゲニア・メドベージェワ選手(ロシア)を一気に追い越して五輪チャンピオンに駆け上った。紀平選手がそのザギトワ選手を抜いたわけで、仮に今シーズンに五輪があったらと考えると、ちょっぴり残念な気がしないでもない。

 目まぐるしくトップが交代する女子フィギュア界。紀平選手は一躍、22年北京五輪の金メダル候補に躍り出た。だが、3Aを上回る4回転ジャンプをこなすジュニア選手が来季以降のシニアデビューを待っている。

 その代表格は、アレクサンドラ・トルソワ選手(ロシア)。昨季の世界ジュニア選手権で女子初となる2種類(サルコー、トーループ)の4回転ジャンプを跳んで優勝し、今季は9月に女子初となる4回転-3回転の連続トーループに成功。さらに10月には女子では国際スケート連盟(ISU)公認大会で初となる4回転ルッツ成功と、次々に記録をつくった。

 トルソワ選手はGPファイナルと同時開催のジュニアGPファイナルのフリーで3本の4回転ジャンプを組み込んだ。最初の二つの4回転ルッツはともに失敗に終わったが、続く4回転トーループは決めた。技術点だけをみると79.41点で、紀平選手の78.21点を上回っている。まだまだ発展途上のため演技構成点では紀平選手に10点以上の差をつけられたが、小さな体で軽々とジャンプを跳ぶ姿はまぶしい。

 ジュニアGPファイナルで、そのトルソワ選手を破ったアリョーナ・コストルナヤ選手(ロシア)は、滑りが美しく表現力に秀でた芸術派。北京五輪という頂上を目指し、どんなドラマが待ち受けているのだろう。

【筆者略歴】

後藤英文(ごとう・ひでふみ) スポーツジャーナリスト。共同通信では初代スポーツ専門特派員としてニューヨークで勤務。MLBワールドシリーズやW杯サッカー、NFLスーパーボウルのほか夏冬の五輪などを取材。元びわこ成蹊スポーツ大学教授。

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