【コラム】4回転時代をけん引するフィギュア女子のジュニア選手

 新ルールでのグランプリ(GP)シリーズがスタートして、今季のフィギュアスケートの戦いが本格化した。2019年世界選手権、さらには4年後の北京冬季五輪をゴールとした争いは幕を開けたばかりだが、女子でジュニア選手の台頭が著しい。4回転ジャンプを軽々と跳び、新時代の到来を告げているようだ。

 その先頭に立つのは、ロシアのアレクサンドラ・トルソワ。昨季(今年3月)の世界ジュニア選手権で女子初となる2種類(サルコー、トーループ)の4回転ジャンプに成功して優勝した。女子で初めて4回転ジャンプを成功させたパイオニアは安藤美姫で、2002年12月のジュニアGPファイナルで4回転サルコーを跳んで歴史に名をとどめた。その時、安藤は15歳の誕生日の4日前だったが、トルソワはより若い13歳8か月での快挙達成だった。

 安藤の成功から16年が経って新たな時代に入ったわけだが、今季はさらに進化した。トルソワは9月のジュニアGP第3戦で女子初となる4回転-3回転の連続トーループを跳んだ。この時、4回転ルッツは着氷したものの回転不足で認められなかったが、10月のジュニアGP第7戦で女子では国際スケート連盟(ISU)公認大会で初となる4回転ルッツを成功させた。ルッツは、半回転多いアクセルを除けば最も難しいジャンプで、男子でもプログラムに入れている選手はネーサン・チェン(米国)ら数人しかいない大技だ。それでもトルソワは「フリーの構成には三つの4回転ジャンプを入れているが、病気のため調子がよくなくて今回はルッツだけを跳んだ」(ISUホームページから)とこともなげに言った。末恐ろしい逸材である。

 その対抗馬として挙げられるのが、トルソワと同じモスクワのサンボ70というクラブに所属するアンナ・シェルバコワ(ロシア)。2人とも平昌五輪金、銀メダルのアリーナ・ザギトワ、エフゲニア・メドベージェワを教えたエテリ・トゥトベリゼ・コーチの門下生である。ロシアの国内大会のためISU非公認となったが、シェルバコワは10月の大会でトルソワより先に4回転ルッツを2度も決めた。そのうちの一つは3回転との連続ジャンプだった。

 トルソワ、シェルバコワともに04年生まれの14歳で、身長も同じ150センチ。ザギトワら偉大な先輩をお手本に成長し、技術力ではすでに世界のトップ選手をしのぐまでの実力を蓄えている。トゥトベリゼ・コーチの下にはもう一人、アリョーナ・コストルナヤという15歳の若手がいる。今季のジュニアGPシリーズではトルソワ、シェルバコワとともに2勝をマークしている。この3人が激突する12月のジュニアGPファイナル(バンクーバー)は、北京五輪までの今後の4年間を占う意味でも大いに注目される大会となるだろう。

【筆者略歴】

後藤英文(ごとう・ひでふみ) スポーツジャーナリスト。共同通信では初代スポーツ専門特派員としてニューヨークで勤務。MLBワールドシリーズやW杯サッカー、NFLスーパーボウルのほか夏冬の五輪などを取材。元びわこ成蹊スポーツ大学教授。

あなたにおススメの記事

あわせて読みたい

関連記事

ビジネス

地域

政治・国際

スポーツ

株式会社共同通信社