健常者と障害者が一緒にプレー フットサルチーム、FC Tryangle Tokyo

 

健常者と障害者がメンバーのフットサルチームが、東京で活動している。

「FC Tryangle Tokyo」。舞台は東京都社会人リーグの一番下になるエントリーリーグ(5部に相当)の中の府中SGブロック。2年前に結成して以来、まだ1勝の未完成のチームだが、代表の堀江泰さん(38歳)は「今のメンバーと、何年掛かろうが上を目指す」と意気込んでいる。

チームを率いる堀江さん

ある日のリーグ戦。プレーを見ている限り、誰が健常者で誰が障害者かは区別が付かない。ただ平均年齢が30歳を超えるチームは、時間が経過するにつれ動きが鈍くなり、失点を重ねた。年齢が高いのには訳があり、メンバーはチームコンセプトの理解者で占められているからだ。

堀江さんは電車の保守業務を請け負う会社を経営している。ある時、動画で知的障害者のサッカーを見てボランティアを志し、日本代表チームの広報などを担当した。しかし、選手たちに一番必要なのは雇用であることに気づき、自分の会社で障害者を雇用し、障害者と雇用を希望する企業を仲介するサービスを始めた。そのサービス名がtryangle。さらにビルメンテナンス会社も買収し、雇用の場を広げていった。

ここまでなら、障害者支援に熱心な経営者だが、高校時代にサッカーに明け暮れた堀江さんは、自らプレーすることも追求した。それも障害の有無に関わらないチームとして。この考えに理解を示してくれた同僚や取引先の社員、知り合いの鍼灸師、教師と様々な職業の人たちが集まった。楽しみながら社会貢献。メンバーの平均年齢が高くなった理由だ。

日本代表に選ばれている浦川さん

障害がある選手といっても技術は高い。その一人、浦川優樹さん(27歳)は、15歳の時から知的障害者のサッカー日本代表に選ばれ、4年に一度の世界大会に4大会連続で出場している。海外遠征の度に数十万円の自己負担があり、安定した仕事を確保するのはサッカーを続けていく上で欠かせない条件だ。「今はサッカーをやれるだけやりたい。そのために仕事も増やし、しっかり稼ぐことも大事」という。現在は堀江さんが買収したビルメンテナンス事業部に勤務している。精神障害があるGKの森下慶祐さん(31歳)は、実習で堀江さんの会社に来て、そのまま入社。野球の経験はあるがフットサルは初めてで「モリシ、前に出ろ。横にはじけ」と、チームメートから盛んに声を掛けられ、汗だくになってプレーを続けていた。

ゴールキーパーを務める森下さん

堀江さんは、働ける力を持った障害者の生活をどう支えるかが大事だと言う。慈善事業ではない以上、利益を生み出すことが必要。人材紹介事業を立ち上げたり、ビルメンテナンス会社を買収したのも、課題解決への事業化という答えだった。そのために専門家である林一茂さん(30歳)を採用、障害者支援事業部の責任者に据えている。

6年前、32歳の若さで社長に就任した堀江さんは、堀江車輌電装という堅いイメージの会社に新風を吹き込み、新たなアイデアを次々に導入して業績を伸ばした。東日本大震災の被災地支援活動では、被災者が考案したキャラクターの商品化や清涼飲料水の自動販売機を介した寄付システムの構築などが評価され、表彰されている。スピーディーでエネルギッシュな若手経営者そのものだが、フットサルに関してはイメージが異なる。「コンセプトを理解してくれるメンバーと上(のリーグ)に行きたい」。こちらは長い道のりになりそうだ。

 

 

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