【コラム】W杯サッカーは国民的行事、楽しんで応援したい

 サッカーのワールドカップ(W杯)ロシア大会の日本代表23人が決まった。NHKテレビが午後4時のニュース枠を拡大して発表会見を生中継し、民放数社も中継した。社会問題となったアメリカンフットボール日大選手による悪質反則タックルをひとまず脇に追いやり、前向きな話題がスポーツ報道の中心に座ったことにほっとしたのは私だけではないだろう。

 W杯サッカーの代表メンバー発表ではキングカズこと三浦知良選手の衝撃的な落選など、これまでにも数々のサプライズがあった。その都度、コアなサッカーファンからにわかW杯ファンまで、日本中の多くの人たちが批評家となって持論を展開した。かくいう私も、カズの落選にはびっくりした。ここ一番での点取り屋として必要な選手だと思っていたが、当時の代表監督の推進するサッカーでは構想外だった。あの落選が、いまでも三浦選手を現役にとどまらせていることを考えると、感慨深いものがある。スキー・ジャンプの葛西紀明選手同様、彼は悔しさをバネに「レジェンド」として唯一無二の存在となった。ロートルの身にとっては、まぶしくも勇気付けられる存在なのである…。

 話はそれたが、今回の代表発表である。「サプライズなし」「ベテラン頼み」といった見出しが翌日の新聞に躍った。川島永嗣選手35歳、長谷部誠選手34歳、ビッグ3と呼ばれる本田圭佑選手31歳、岡崎慎司選手32歳、香川真司選手29歳。平均年齢は28歳を超え、過去最高となった。突然指揮官に指名された西野朗監督の心中を察すれば、彼らの経験値に重きを置くのは当然のことと考えられる。個人的にはアジア最終予選で輝いた若い井手口陽介選手や浅野拓磨選手に期待していたが、所属クラブで定位置を取れず、試合になかなか出られなかったことを考えると、外したことへの反論材料は乏しい。

 日本代表はガーナ戦にいいところなく敗れた。専門家がこぞっていうのは「いまは底の状態」。あとは上るだけ、というわけである。ベテランの多用は成功すればいいが、後に続かないために失敗すれば厳しく批判されよう。西野監督は覚悟を決めた。W杯で勝つための準備をしていると日ごろから口にしてきた本田選手にも期待するところは大である。いまやW杯サッカーの日本戦は予選段階から紛れもなく「国民的行事」である。ましてや本大会は4年に1度の大舞台だ。不安や心配はさておき、ここは世界最高峰の大会を楽しみ、サポーターに徹して日本代表を応援しよう。

【筆者略歴】

後藤英文(ごとう・ひでふみ) スポーツジャーナリスト。共同通信では初代スポーツ専門特派員としてニューヨークで勤務。MLBワールドシリーズやW杯サッカー、NFLスーパーボウルのほか夏冬の五輪などを取材。元びわこ成蹊スポーツ大学教授。

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