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【コラム】永田町「女たちの悪巧み」

  今やすっかり沈静化してしまった加計学園問題だが、安倍晋三首相と加計学園の加計孝太郎理事長との親密ぶりが可視化されたのは、昭恵夫人がフェイスブックで公開したクリスマスパーティーの写真が発端であった。そしてその写真に添えられた見出しが「男たちの悪巧み」であった。獣医学部が新設されたことを見れば、「男たちの悪巧み」は見事に成功した。

  一方、永田町では密かに「女たちの悪巧み」が繰り広げられている。他の先進国に比べれば、日本の女性国会議員の割合はまだまだ小さく、衆議院で10%、参議院でも20%にすぎない。自民党の場合、衆院では283人中22人、参院でも123人中19人で、合わせても40人余りである。

 しかし、「3人寄れば派閥ができる」といわれるように、自民党の女性議員の中でグループ化が見え隠れする。今年3月、稲田朋美元防衛相らが中心となって「女性議員活躍の会」という名の議員連盟が発足し、二階俊博幹事長もこれを積極的に応援している。「女性議員を増やすため」「女性議員を応援するため」と銘打たれているが、どうもきな臭い。

 もともと女性の首相候補のトップランナーは、野田聖子氏だと見られてきた。過去には推薦人が集められず、総裁選出馬断念を強いられたが、まだまだ意欲は満々である。今年2月に当選同期の会で安倍首相が「次の総裁候補は岸田さんだね」と言うと、野田氏はすかさず「私もいる」と言い放ったというし、少しでも仲間を増やそうと躍起になっている。

 野田氏は37歳の若さで郵政相として初入閣し、内閣府特命担当相や自民党総務会長、総務相を歴任してきた。現在は衆院予算委員長の要職にある。予算委員会では閣僚も質問者も「さん」付けで指名して存在感を示してきたし、質疑を聞き逃さないよう、トイレに行くのも我慢をして、委員長席に座り続けた“猛者”でもある。

 それに対し、稲田氏は安倍首相の秘蔵っ子で、現在は筆頭副幹事長として二階幹事長にもかわいがられている。当選回数は5回ながら、内閣府特命担当相や自民党政調会長、防衛相などを歴任してきた。稲田氏のほうが野田氏よりも2歳年上だが、ほぼ同年代である。政治スタンスは稲田氏が“保守”であるのに対し、野田氏は“リベラル”だといえる。

 自民党には女性局が置かれている。本来、女性議員はそうした場で力を合わせるべきであるが、稲田氏らは三原じゅん子女性局長の不快感を歯牙にもかけず、あえて議員連盟を立ち上げた。のみならず、議員連盟には野田氏や野田氏に近い議員の姿は見られない。「あれは野田包囲網の会だよ」とは、あるベテラン記者の解説である。

 表面上、野田氏と稲田氏の“友好関係”は保たれているし、「マスコミが二人の関係を面白おかしく報じているだけ」(参加議員)と言う者もいる。結果的に国会日程によって中止となったが、6月21日には稲田、野田両氏らが呼び掛け人となって、全女性議員によるランチ会も企画されていた。しかし、キツネとタヌキの化かし合いが当たり前の永田町で、両者の“融和”を真に受ける者は皆無に等しい。だから「当面、議員連盟は女性閣僚を推薦する役割を果たし、いずれ稲田氏の応援団になるのではないか」(閣僚経験者)といった見方が有力になりつつある。

 政治家である以上、女性議員も野心を抱いていいし、仲間を増やそうとしてもいい。しかし、「悪巧み」の前に、まずは大同団結して女性議員を増やす努力を重ねるべきではないか。こうしたきな臭い「悪巧み」に見向きもせず、黙々と国会議員としての役割を果たしている女性議員がいることも忘れてはならない。

(政治アナリスト 楠 拳太郎)

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